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- 2021年7月29日
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ノアは、ドイツのディーターレ製の刃先交換式プラスチック加工用ターニングツール(旋盤用切削工具)を発売した。自動車の軽量化などでプラスチックの需要が増えるとみて専用切削工具を投入した。刃先だけを交換できるため、位置決め設定作業が容易になる。消費税抜きの価格はホルダーが2万1600円から、突切りインサート(刃先交換チップ)が8100円から。
これまで金属加工に比べプラスチック加工は需要が少なく、専用切削工具は特注対応が多かった。ディーターレのプラスチック用標準ツールは、鋭利な刃先で熱の発生を抑えたのが特徴。突切りインサートは外径加工用で切削タイプと切りくず不排出タイプの2種類があり、プラスチックの材質や加工サイズに応じてラインアップをそろえた。特注にも対応する。
プラスチックは金属に比べ軟らかく、旋盤による加工時に熱の影響を受けやすい。このため金属加工用工具を転用できず、手作りや特注品に頼る例が多かった。
- 2021年7月29日
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- 2021年7月28日
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牧野フライス精機は、加工対象物(ワーク)の交換時間を従来機比で半減するなど生産性を高めた工具研削盤「AGE30FX」を発売開始した。
旗艦機種「AGE30」の後継となる。高精度、安定加工を引き継ぎつつ、砥石(といし)やワークを交換する装置などの性能を大幅に高めた。価格は4200万円(消費税抜き)。工具メーカーなどに提案する。
2009年発売の「AGE30」はロングセラーとして評価されている一方、差別化には性能向上が必要となっていた。新製品では周辺装置を見直し「生産性を高めてユーザーに利点を与える」(清水社長)ことを狙った。
材料をセットするパレットを小型化しつつ、一度にセットするワークの数を従来機の123本から780本に増やして交換の手間を削減。ワーク交換時間は従来の45秒から20秒に短縮している。パレット1枚の重量が軽くなり、取り出しも引き出し式にして作業者の負担を軽減する。
砥石の交換装置は丸形から星形に変更して、同じ大きさでも収納できる砥石とノズルの数を6枚から8枚に増加。交換スピードも約15秒から約10秒に速めた。ワークを保持する主軸も回転数を上げ、砥石のドレス(研ぎ直し)や円筒研削の時間短縮につなげた。
研削液タンクを除いた大きさは高さ2320ミリメートル、幅2380ミリメートル、奥行き3070ミリメートル。外観の配色を改めて新味を出した。
清水社長は「当社の売上高の4割を担う製品に育てたい」としている。
- 2021年7月28日
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- 2021年7月27日
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ファナックは、工作機械向けコンピューター数値制御(CNC)装置にデジタルツイン技術を取り入れた新機能を発表した。CNCのシミュレーターを改良し、切削加工時のCNCの動きを正確に再現。実切削前に加工プログラムを機械で空運転させ、加工面を推定する機能も導入する。CNCを搭載する工作機械の設計や保守でもデジタルツインを活用。工作機械のメーカーやユーザーの生産性向上につなげる。
CNCのシミュレーター「CNCガイド」は10月に改良を予定する。加減速制御などのCNCの動作を忠実に再現。正確な加工時間の予測などにつなげる。加工面推定機能は8月に追加予定で、サーボ位置情報から加工面を推定できるようにする。
工作機械で加工不良が起きた場合、一般的には加工プログラムや加工条件を見直す「手戻り作業」が必要になる。修正した加工プログラムや条件が正常に機能するかを確認する試作を含め、完成までの工数が増える原因となっていた。ファナックの新しいCNCガイドや加工面推定機能を用いて事前に確認することで、こうした手戻り作業を極力なくし、工数削減につなげる。
一方、工作機械の設計向けでも新しいCNCガイドを活用。操作画面などのアプリケーション開発をデジタル環境上で進められるようにし、ファナック製CNCを使う工作機械メーカーの設計効率化を支援する。
工作機械の保守でもCNCガイドを利用し、稼働監視のほか、加工現場で発生した問題を把握。デジタル環境でリモート調査を実施し、機械の稼働停止時間(ダウンタイム)を短縮する。
- 2021年7月27日
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- 2021年7月26日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の5月の受注実績は、前年同月比2・2倍の355億4200万円で6カ月連続の増加となった。国内外での受注回復に加え、前年同月が新型コロナウイルス感染症の影響で低かった反動もあり、大幅な伸び率となった。特に海外需要の回復が鮮明で、中国以外の地域でも設備投資の動きが広がり始めている。
全社が合計、国内、輸出の各項目で増加した。特に輸出の増加が顕著で、牧野フライス製作所やツガミなど5社が2倍以上の伸びとなった。牧野フライスは合計が2019年3月以来の80億円超えとなり、輸出は過去最高を更新。中国で自動車向けに大口受注があったほか米国でも自動車や半導体製造装置関連向けに受注が増えた。
オークマは19年9月以来20カ月ぶりに合計が100億円を上回った。輸出では中国、欧州向けが前年同月比2倍以上の増加。欧州は自動車や農業機械向けに受注が増え「かなり盛り上がってきている」(オークママーケティング室)という。
ツガミは中国で労働節(メーデー)連休の影響があったものの、スマートフォンや自動車など幅広い業種で好調が継続している。
三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)はインドや韓国、インドネシアでも歯車工作機械を受注するなど「中国以外の地域でもようやく動きが出始めた」(事業戦略推進室)。
一方で国内も堅調に推移しているものの、補助金採択待ちで発注を控える動きもあり、輸出に比べ伸び率は低い。今後について「厳しい状況が続く」(ジェイテクト担当者)という声も聞かれる。
- 2021年7月26日
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- 2021年7月21日
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タンガロイは、4コーナー溝入れ工具「テトラ・フォース・カット」のインサート(刃先交換チップ)に、最大溝深さ10ミリメートルに対応する38サイズシリーズを追加し、発売開始した。耐チッピング性と耐塑性変形性に優れた材種も採用し、安定した溝入れ加工を実現する。価格は「TCL38―200―020AH7025」が4818円(消費税込み)。
溝幅は1・5ミリ―4・0ミリメートルを設定。チップブレーカーにはTCL形を採用し、幅広い被削材の溝入れ加工でのスムーズな切りくず排出を実現した。ホルダーには未使用コーナーを保護する形状のインサートポケットを設置し、すべてのコーナーを確実に使える。また、内部給油が可能なCHPタイプホルダーも設定。高圧クーラント供給との組み合わせで確実な切りくず処理と排出、寿命延長に優れた効果を発揮する。
- 2021年7月21日
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- 2021年7月20日
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三菱重工工作機械は、歯車工作機械のホブ盤「GEシリーズ」の新機種として、高精度・高能率を重視した2機種を発売した。高速・高トルク型の主軸の搭載などにより、自動車の電動化や静粛性向上に伴う量産歯車の高精度化、高能率化ニーズに対応する。価格は4500万円から(消費税抜き)。両機種合わせて2021年度に5台の販売を目指す。
発売したのは、加工対象物(ワーク)の最大径150ミリメートルの「GE15HS」と同250ミリメートルの「同25HS」。
同15HSは、主軸に高速・高トルク型ダイレクトドライブ(DD)モーターを採用。主軸の最高回転速度を従来比3倍の毎分6000回転に高めた。テーブル軸には、軸と同じ方向に荷重がかかるスラスト荷重に対する高剛性と高速回転を両立した専用テーブルを搭載し、高能率加工を実現した。
超硬工具を使った加工のRa(面粗さ)を、歯車研削並みの0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下に抑えることで、熱処理前の仕上げ工程(シェービング加工)を不要にできる。
- 2021年7月20日
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- 2021年7月19日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた5月の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が9カ月連続で首位だった。2位はホンダの軽自動車「N―BOX」で、軽としては18カ月連続で首位を維持した。
上位10車種のうち9車種が2020年同月の販売台数を上回った。コロナ禍による生産調整や購入マインドの低下の影響で前年は販売不振が深刻だったため、その反動増が出たようだ。今後に関してはコロナ禍の収束の見通しが難しい点や緊急事態宣言延長、半導体供給不足の影響が懸念されるため、見通しは不透明だ。
3位のトヨタの小型車「ルーミー」は前年同月比3・1倍。20年9月にマイナーチェンジした。4位のスズキの軽「スペーシア」は同2・4倍、5位のダイハツ工業の軽「タント」は同3・2倍。軽自動車においては、スライドドア付きで全高が高い車種の人気が続いている。
- 2021年7月19日
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- 2021年7月16日
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工作機械業界ではコロナ禍により、顧客を自社に招く加工テストや出荷前の顧客による最終確認(立ち会い)でオンライン化が当たり前になった。オークマも当所の手探り状態から進化。技術打ち合わせの効率化などにつなげている。
コロナ禍当所、顧客との遠隔でのやりとりは基本的なことから苦戦した。「機械をどう見せるか、カメラのアングルさえ皆で検討した」と吉村知泰日本・アジア営業本部営業部長は苦笑する。リアルでの対応以上に準備が大変だった。
しかし現在、違和感は減ったという。「リアルとはやり方を変えるべきだと気付いた」と吉村部長。顧客の注目点を事前に聞き、詳しい資料を用意。加工テストや立ち会いでも重点的に見てもらう。
道具選びも工夫した。最初はスマートフォンを使ったが、付属の会話用アプリは顧客が確認したい切削音をノイズとして除去してしまう。カメラも切削面の撮影には不十分だった。
そこで、音と映像で機械と加工状況を正確に伝えるため高性能のマイクやミキサー、高解像度で接写できるカメラなどを購入。担当者用のマイクやイヤホンも別に用意し、ワイヤレスで扱えるよう組み合わせた。「2020年12月に米国で大型商談があり、本気で道具をそろえた。それが顧客に好評で、全社に広めた」と前川久好同営業本部マーケティング室長は振り返る。
前川室長はオンライン化により「目的が明確になった」と評価する。技術担当者と顧客の打ち合わせも今はオンライン化し出張が不要になった。「1日で、出張なら1件だった技術打ち合わせが3、4件可能」と吉村部長も効率化を強調する。
今後の課題は、コロナ禍でどう未知の顧客と出会うかだ。オンラインの自社展示会に手応えを感じつつ「不特定多数のユーザーと出会えるリアル展がない不利益は大きい」と前川室長。オンライン活用の試行錯誤は今後も続きそうだ。
- 2021年7月16日
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- 2021年7月14日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した5月の新車販売台数は、前年同月比46・3%増の31万9318台と8カ月連続でプラスだった。前年同月は新型コロナウイルス感染拡大を受けた初めての緊急事態宣言が発出された時期で、経済活動が制限され新車販売も落ち込んだ。2021年5月はその反動増が大きく出たものの、例年の販売水準までは回復しきれていない。
登録車は同30・9%増の19万3750台と3カ月連続でプラスだった。ただ5月単月としては統計を開始した1968年以降で下から4番目。半導体などの部品不足や、消費マインドの回復が遅れていることなどが影響している。
車種別では乗用車が同34・1%増の16万5932台だった。特に普通乗用車は同63・3%増の9万7430台だった。
軽自動車は同78・6%増の12万5568台と8カ月連続のプラスだった。ダイハツ工業の「タフト」などの新型車や、特別仕様車によるテコ入れの効果が見られた。しかしコロナ影響が無かった19年同月比だと15・6%減という実績で「良い数字ではない」(全軽自協)。
今後の見通しは「各メーカーに半導体不足の影響が広がっており、その影響も読み切れない状況だ」(同)。4月末に発出された3回目の緊急事態宣言が延長されたこともあり、「先行きはかなり不透明だ」(自販連)という。
- 2021年7月14日
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- 2021年7月12日
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スター精密は自動車、油圧・空圧装置分野などの大径部品加工向けのスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SR―32JIII」を8月に発売する。背面加工用に6軸型ユニットを搭載した直線制御軸5軸の「タイプA」、Y2軸制御付き8軸型ユニットを搭載した直線制御軸6軸の「同B」がある。消費税抜きの価格はAが1080万円、Bが1230万円。シリーズ合計で年間300台の販売を目指す。
同旋盤は大径部品加工向けの主力機「SR―32J」をリニューアルしたシリーズ最新モデル。最大加工径は32ミリメートル。
正面加工用のくし刃型刃物台回転工具に、加工部品の形状に応じて工具ユニットが取り換え可能な2カ所のカートリッジポジションを備えた5軸型と6軸型のほか、クロス加工専用の6軸型の3タイプを用意。顧客のニーズに応じた最適なツーリングレイアウトを選べるようにした。
機械構造面では、くし刃型刃物台に独自の「スラント型すべり案内面構造」を採用。機械剛性を高め、長時間にわたって安定した高精度連続加工を可能にした。
- 2021年7月12日
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- 2021年7月9日
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乗用車メーカー8社がまとめた4月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比2・3倍の207万8285台と、大幅な増加となった。3カ月連続のプラス。半導体供給不足により生産調整を実施したマイナス影響はあるものの、2020年はコロナ禍で各社が工場稼働を停止しており、その反動増が大きく出た。足元では半導体不足が続く。
海外生産台数は同2・8倍の139万8524台だった。トヨタは同3・1倍の49万3854台で、4月単月で過去最高となった。欧州の一部でコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響はあったものの、米国でライトトラックを中心に販売が好調だった点が押し上げた。
全体の国内生産台数は同64・8%増の67万9761台。ダイハツ工業は同67・5%増の8万2477台で、4月として過去最高だった。軽自動車「タント」などの販売が好調で生産を増やした。
全体の国内販売は同30・2%増の32万3342台。緊急事態宣言などの影響はあったものの、昨年の反動増に加えて、新型車の販売が好調な点が寄与した。
4月に三菱自動車は国内外の3拠点の生産において、計7500台の半導体不足の影響があったとしている。半導体の需給は引き続き逼迫(ひっぱく)している。
- 2021年7月9日
