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- 2020年6月2日
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機械工具上場商社9社の2020年3月期決算(トラスコ中山は20年12月期、NaITOは20年2月期)が出そろい、8社が減収となる厳しい決算となった。下期以降、米中貿易摩擦が本格化し、世界的に需要が停滞。年明け以降は新型コロナウイルスの感染拡大で、中国での需要が減少した。コロナの影響が国内で出始めるのはこれからとの見方が大半で、不透明感は増している。トラスコ中山以外の全社が業績予想を公表しないなど、コロナの影響は読み切れない難しい状況が続く。
日本工作機械工業会の19年度の受注総額は1兆995億円と10年ぶりに1兆1000億円を割り込んだ。自動化や5G向けの需要があったものの、自動車需要が低迷。下期以降は米中貿易摩擦が本格化し、世界的に需要が減速した。受注額は8月に1000億円を切り、それ以降右肩下がりの状況が続いている。
こうした状況を受け、機械に強い山善の機械事業部の売上高は23%減の1314億円と大きくマイナスとなった。特に海外が厳しく34%減少した。ユアサ商事の機械部門の売上高も1224億円と6%減少。ただ、建機や建築・エクステリア部門が増収となったことで、全社的には微減にとどまった。フルサト工業も機械・設備部門の売上高は14%減の207億円となったが、建築配管部門が1・3%増の342億円と下支えした。
伝導関連が主力で、設備関連に強い日伝や鳥羽洋行は10%近く減収。工作機械の減少は消耗品にも影響し、切削工具に強いNaITOやCominixはそれぞれ7・1%、8・6%の減収となった。
景気停滞に追い打ちをかけるように、1月に中国でコロナウイルスの感染が拡大。「中国向けの需要が急減し、国内の期末の駆け込み需要にも急ブレーキがかかった」(ある商社幹部)。そんな中で、トラスコ中山は1?3月売上高で3・1%増の574億円を確保。ネット通販向けが101億円と2割近く伸びるなど、巣ごもり需要を上手く捉えた。
ただ国内でコロナの影響が本格化するのはこれからという見方が大半。すでに緊急事態宣言が出された4月の工作機械の受注額(速報値)は561億円とリーマンショックの余波が残る10年1月以来の水準にまで落ち込んでいる。
コロナの収束が見えない中で、底打ちも見通せない。12月期決算のトラスコ中山は5%増の2316億円と通期予想を発表しているが、残る全社が通期予想の公表を見送るなど、コロナによる影響が読めない難しい状況が続く。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2020年6月2日
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- 2020年5月27日
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乗用車メーカー8社が発表した3月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比26・1%減の186万3584台の大幅減となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各国の生産活動が相次いで停止し全社軒並み減少。前月に比べ各社平均で米国は約3割減、欧州は約4割減と大幅に生産台数を落とした。一方、操業を再開した中国は7倍近くに急回復するが前年同月に比べて水準は低いままだ。
3月単月では海外生産が前年同月比35・6%減の107万2238台の2ケタ減だった。米国では各社が工場の操業を止め台数を落としており、米国生産はトヨタ自動車が同26・2%減の7万1482台、日産自動車が同47・4%減の3万6082台、ホンダも同35・0%減の6万9937台だった。
欧州はホンダが英国とトルコの工場を停止し同52・4%減の5165台。インドではスズキが操業を止め同32・1%減の9万2508台と減らした。
国内生産は同7・7%減の79万1346台。サプライチェーン(供給網)の混乱や需要低迷で各社生産調整する。トヨタは同13・2%減の27万9065台、ホンダも同9・7%減の7万2696台。
2019年度の世界生産台数は前年度比7・5%減の2657万5835台とマイナスだった。SUBARU(スバル)とダイハツ工業を除く6社が前年度実績を下回った。海外生産は同10・0%減の1753万9041台。日産は米国のスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」やメキシコの小型車「セントラ」が落ち込んだ。国内生産は同2・4%減の903万6794台。日産は小型車「ノート」が伸び悩み国内は2ケタ減。一方、スバルは外製部品(電動パワーステアリング装置)不具合による減産の反動増となった。
- 2020年5月27日
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- 2020年5月22日
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Kamogawaは、ホーニング用固定式電着工具「アクセラリーマ仕上げくん」を発売した。
電着部に低破砕性砥粒のダイヤモンドを採用。他社従来品に比べ20―30%の長寿命化を実現した。価格は径により異なるが、消費税抜きで1本4万―10万円。
自動車部品や建設機械部品向けなどに提案し、年間3000万円の売上高を目指す。
アクセラリーマ仕上げくんは、焼入鋼や鋳物製部品の内径を1回の処理でプラスマイナス2マイクロメートルの精度で加工できる。電着部分のダイヤモンド砥粒を、独自技術で均一な高さに整えた。加工対象物(ワーク)の仕上がり精度向上につながる。
母材には錆びないステンレスを使用。一定期間使用後、電着部分を取り換える際に、母材の錆を研磨せず使える。台金加工と電着工程を社内で一貫して手がけ、コストを抑えた。
- 2020年5月22日
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- 2020年5月20日
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日本工作機械工業会が発表した2019年度の工作機械受注実績(確報値)は、前年度比34・9%減の1兆995億4100万円だった。10年連続で1兆円超えを果たしたものの、10年ぶりの1兆1000億円割れとなった。足元では欧米などで新型コロナウイルスの感染拡大が本格化しており、今後、顧客が設備投資を見送る動きが一層強まる恐れもある。
19年度は、米中貿易摩擦や自動車需要の低迷に加え、20年からの新型コロナの感染拡大の影響により、受注総額が1兆円以上に達した10年度以降の10年間で最も低かった。
内需は前年度比36・5%減の4466億3900万円で、3年ぶりの減少。13年度以来、6年ぶりの5000億円割れとなった。米中貿易摩擦の影響で需要が落ち込み、全11業種が軒並み減少。中でも主要業種である一般機械、自動車、電気・精密機械は前年度比3割以上の大幅減少となった。
外需は同33・8%減の6529億200万円で2年連続の減少。09年度以来、10年ぶりの7000億円割れとなった。
中国は新型コロナの影響が深刻化したことなどから、同40・0%減の1420億3600万円となり、中国を含むアジアと欧州、北米の主要3極すべてで減少した。
3月単月は前年同月比で18カ月連続の減少。本来、3月は期末で受注が増えるが、新型コロナの影響などにより2カ月連続で800億円割れとなった。3月として800億円を下回るのは10年ぶり。
中国は政府の産業奨励策の効果などで前月比増加となったものの、大手工作機械メーカーからは「過剰気味」との声も挙がる。
新型コロナの影響も世界的に広がっており、日工会では「今後も国内外で影響が懸念され、(新型コロナの)動向を注視する必要がある」としている。
- 2020年5月20日
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- 2020年5月15日
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ユアサ商事は2023年に売上高5450億円とする中期経営計画「GrowingTogether2023」を策定した。海外やロボット、IoTなどの成長分野への投資を積み増す一方、エンジ二アリングや物流機能の強化など現在のコア事業の基盤を強化すべく、3年で総額170億円の投資枠を設けた。
ユアサ商事は26年に360周年を迎えるため、17年に長期ビジョン「ユアサビジョン360」を策定した。売上高6000億円を目指すとともに「業界トップレベルの収益力を持つーつなぐー複合専門商社」とあるべき姿を定義。今回の中期計画はその長期ビジョン達成に向けた第2弾となる。
新中期計画は、成長事業とコア事業、経営基盤の強化の3つに大別し、戦略を策定した。成長分野では、海外事業に40億円の投資枠を設定。アジアでの拠点拡大や北米で機械商社との協業、ローカル企業向けの拡充などを進め、20年に405億円の売上高を23年に740億円まで引き上げる。
ロボットやIoTも成長事業と位置づけ、SI機能の強化やAIベンチャーとの協業などに40億円の投資枠を設けた。現在73億円の売上を170億円にまで伸ばす。
流通プラットフォーム「グローイングナビ」を新流通事業と位置づけ、同サイトでの発注額を100億円に倍増させる。また、ARやVRなどを活用し、デジタルでの「コト売り」を強化する。
成長事業には、レジリエンスや環境・エネルギー、農業、介護、設備のシェアリングなども掲げた。成長事業全体で現在約1100億円の売上高を1850億円にする。
コア事業ではエンジニアリング力を強化するため、グループ全体で435人の技術者を活用する仕組みを構築。販売先のやまずみ会を通じて、製品単独ではなく、総合的な提案を行えるようにする。また、新流通事業を支えるため、東名阪九州での物流機能を強化する。
経営基盤の強化では、デジタル投資でグループやグローバルでの共通基盤を確立するほか、理系、女性総合職、留学生などの採用を増やす。また、ESGやSDGs向けの取り組みとして、植林活動や災害支援物資の供給体制強化など進める。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)
- 2020年5月15日
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- 2020年5月13日
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C&Gシステムズは、機械部品の加工に利用する2次元・3次元融合CAM(コンピューター利用製造)システムを開発、部品加工市場に参入した。同社は金型用CAD/CAMシステム大手だが、金型以外の量産加工にも自社ソフトウエアが活用できると判断した。工作機械メーカーやモノづくり企業に利用を呼びかけていく。
機械や機構部品の加工では、設計者が寸法公差など部品形状の属性を伝える手段として2次元図面が多く使われている。また工作機械を利用したソフトは海外製が多く、中小企業にとっては使い勝手に課題も多い。
発売したCAMシステム「パーツキャム」はCAMデータ作成を効率化し、2次元図面のみの加工データ作成に加え3次元モデル認識も可能にした。
国産の強みを生かし、販売は定額利用サービス(サブスクリプション)ではなく、顧客が長期利用できるようライセンスとサポート保守契約とすることで使い勝手を良くした。2020年末までに40ライセンスを販売する。
C&Gシステムズは量産関連市場を強化するため社内に複数のプロジェクトを立ち上げており、金型に次ぐ新たな柱に育てる。塩田聖一社長は「金型に隣接する市場には量産に関わる多くの分野がある。工作機械の自動化や5軸加工など製造技術も高度化しており、使い勝手を追求して国内製造業を下支えしたい」としている。
- 2020年5月13日
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- 2020年5月11日
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ジェイテクトは、軸受生産子会社のダイベア(大阪府和泉市)の新工場「和泉分工場」を完成し、軸受の国際的な工業規格「DIN620」で国産初となる最高等級「P2」の超高精度軸受「プレシレンス」の量産を始めたと発表した。工作機械のスピンドルや各種精密装置、宇宙関連機器など向けに、2025年に20億円の売り上げを目指す。
DIN620で2級下の「P4」の従来品に比べ、各部品の精度を全面的に見直し回転精度は4倍。転がり表面粗さや動力性能を改良し振動値は2分の1。高窒素ステンレス鋼の採用などで最高回転速度を30%高め、回転トルクは30%低減した。大径セラミックス製玉を採用し寿命は2倍。
搭載したスピンドルは軸の振れ量が毎分3万回転時で従来の半分に当たる1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下で、最高回転速度を35%向上できる。和泉分工場ではP2の1級下の「P4S」の軸受も生産する。
- 2020年5月11日
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- 2020年5月8日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した3月の工作機械受注実績は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、前年同月比40・8%減の773億5500万円と大きく落ち込んだ。18カ月連続の減少。2019年度は前年度比34・9%減の1兆994億4900万円で、2年連続の減少となった。
3月受注は、内需が前年同月比36・5%減の342億3500万円で、16カ月連続の減少。外需は同43・8%減の431億2000万円で、18カ月連続の減少となった。先行きについて日工会では、新型コロナの感染が世界的に広がっていることから、「厳しい状況が続きそうだ」(調査企画部)と見ている。
19年度は10年連続で1兆円超えを維持したものの、リーマン・ショックの影響を受けた09年度以来、10年ぶりに1兆1000億円を割り込んだ。米中貿易摩擦に、新型コロナの感染拡大が追い打ちをかけ、内需、外需ともに落ち込んだ。
内需は同36・5%減の4466億2800万円で3年ぶり、外需は同33・8%減の6528億2100万円で2年連続の減少。外需7000億円台割れは09年度以来10年ぶり。
- 2020年5月8日
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- 2020年5月7日
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武蔵精密工業は、生産ラインへの導入期間を大幅に短縮できる部品の外観検査用人工知能(AI)技術を開発した。
これまで半年―1年ほどかかっていた導入期間を、1―2週間に短縮できる。検査精度は95%以上だという。すでに同AIを搭載した専用検査機を製品化しており、月内にも受注を始める。
生産現場に手軽にAIを導入できるようにし、検査工程の負担を軽減する。
従来AIを使った外観検査では、良品と不良品を判別できるよう、大量の検査画像をAIに認識し学習させる。数万枚規模の画像認識が必要な場合もあり、生産ラインで利用できるようになるまでには長期間がかかる。
武蔵精密は自社の生産ラインで学習した検査AIを元に、学習アルゴリズムを改良。部品自体ではなく部品の傷を認知することでAIの汎用性を高め、従来よりも少ないデータで学習できるようにした。その結果、画像データの学習期間を大幅に短縮した。歯車製品や対称形の部品を検査できる。
導入期間短縮で、加工設備を設置する感覚でAI検査機を導入できるようになる。現在、自社工場の量産ラインで検査機を導入しており、外販の際は検査にかかる人件費と同程度の価格にする考えだ。今後は複数種類の部品を1台の装置で検査できるような、AIアルゴリズムのさらなる汎用性向上を進める。
武蔵精密はギアやボールジョイントなど、車の駆動部品が主力。近年は新規事業に力を入れており、2019年にイスラエルのAIベンチャーと合弁会社を設立するなど、AI分野の取り組みを加速している。将来は新規事業で1000億円の売り上げを目指している。
- 2020年5月7日