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- 2020年8月27日
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ジェイテクトは、研削盤とギアスカイビング加工機の加工テストをコンピューター上で完結できる「自動設計システム」を開発し、商談に活用し始めた。加工対象物(ワーク)の仕様を入力するだけで、加工時間や精度を数分で確認できる。工具の特注などに2カ月以上かかる実加工のテストが不要となり、同等の信頼性も確認済み。商談や納期を短縮できる。同様のシステムによる商談は業界でも珍しい。
パソコンでワークの基本形を選びエクセルで仕様を入力する。例えば歯車を加工するギアスカイビング加工機では内歯、平歯などを選び、歯数や径、厚さなどを入力。これを刈谷工場(愛知県刈谷市)のサーバーに送ると、システムが最適なチャックや工具を自動で設計し加工テストをする。データ量を落とした結果をパソコンで確認し、動画ソフトで動作を閲覧する。
開発に1年を費やした。コンピューター利用解析(CAE)のシミュレーションモデルに、実加工データを加えて補正し信頼性を高めた。今後、国内外で商談や打ち合わせに活用する。新型コロナウイルス感染防止などの観点で遠隔のやりとりにも使用。顧客の了解を得ながら「実加工テストゼロ」の実現を図る。
一般的に加工テストは、工作機械の商談の際、品質や生産性を確認するために行う。ジェイテクトが得意な円筒研削盤やカム研削盤、ギアスカイビング加工機は、マシニングセンター(MC)や旋盤に比べて要求精度が高く、チャックや工具も特注のため加工テストは必須だった。
一方、加工テストは時間やコストがかかる上、顧客が現場に立ち会うのが一般的なため、コロナ禍によりデジタル化を模索する工作機械メーカーが増えている。ジェイテクトの自動設計システムは条件を変えたテストもその場で対応できる。メーカー、顧客双方に利点がある営業ツールとして注目されそうだ。
- 2020年8月27日
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- 2020年8月26日
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日刊工業新聞社がまとめた1―6月の工作機械主要7社の受注実績は、前年同期比42・8%減の1193億8500万円だった。米中貿易摩擦や自動車産業の低迷で需要が減退していたところに、1月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、全社が国内、海外ともに前年割れとなった。ただ、中国市場の回復や国内外での営業活動再開を理由に、6月単月では前月比で増加に転じた企業も多く、今後の受注環境の好転が期待される。
オークマの6月は前月比10・4%増。特に国内が半導体製造装置向けなど中・大型加工機の大型案件を受注したことで同36・4%増となった。牧野フライス製作所も、中国での自動車関連や金型向けに受注が増え、全体で同5・3%増となった。ジェイテクト(前月比4・3%増)やツガミ(同10・1%増)なども増加となった。
1―6月で見ると、海外需要の落ち込みが国内と比べて大きかった。特に欧米は、自動車や航空機産業の低迷などから厳しい状況が続いている。ジェイテクトの広報担当者は、北米市場について「自動車が戻りつつあるが、州間の移動規制などはしばらく続くとみられ、回復に時間を要する」と見る。
一方、中国市場は回復傾向が続く。三菱重工工作機械は6月に中国向け受注が増えたほか、足元でも大型案件の商談が出てきているという。牧野フライス製作所は「6月の受注が、前年度の4―6月期の平均並みに戻ってきている」と話す。
7社の6月単月の受注実績は前年同月比44・5%減の173億4000万円となり、19カ月連続で前年実績を下回った。今後も中国を中心に市況回復が期待されるが、大手メーカー幹部は「欧米の長期休暇が終わる9月ころから、どう動くかがポイントでは」と見る。
- 2020年8月26日
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- 2020年8月24日
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日本工作機械工業会が発表した1―6月の工作機械受注額(速報値)は、前年同期比39・9%減の4100億6400万円だった。1―6月では2年連続の減少で、リーマン・ショック後の2009年に次ぐ低水準。米中貿易摩擦などの影響に新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、需要減退に拍車がかかった。内需は同40・5%減の1585億3900万円、外需は同39・5%減の2515億2500万円で、ともに1―6月では2年連続の減少。
6月単月の受注実績は前年同月比32・0%減の672億3400万円。21カ月連続の前年割れとなったが、3カ月ぶりに600億円を超えた。内需は同38・0%減の233億6900万円、外需は同28・4%減の438億6500万円だった。
- 2020年8月24日
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- 2020年8月19日
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第一工業は、樹脂製品に埋め込んで使用するボルト「高トルク対応型圧入式インサートボルト(SSOOボルト)」を発売した。締め付け強度は一般的なインサートボルトの1・5―2倍。高いトルクで締め付けても、埋め込む部分にある八角形の特殊形状が空回りを防ぎ、樹脂を破損から守るため、樹脂製品のボルト締めが可能。部品の樹脂化で軽量化を進める自動車メーカーなどに売り込む。
第一工業は樹脂に埋め込んで使用するナットをすでに販売しており、ボルトでも需要があるとみて開発した。同社の実験によると、八角形の特殊形状を持つナットでは、一般的なローレットタイプと比べて回りトルクが86%、抜けにくさを示す抜け荷重は18%向上。ナットの実験データと実績があるため同ボルトの性能は実証済み。
高トルク対応は、ネジ類の小型化や本数削減につながり、部品点数削減や軽量化にも貢献できる。同ボルトは成形前に金型に入れておき樹脂を流し込むインサート方式と、成形後に圧入で埋め込むアウトサート方式のどちらにも使用できる。
同社は09年にナットを樹脂などに埋め込む「SSOIナット」を、17年に量産に適した生産性の高いアウトサート方式の「SSOOナット」を発売した。今後も高トルクに耐え、樹脂を破損しないナットとボルトで樹脂部品締結の需要を取り込んでいく。
- 2020年8月19日
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- 2020年8月18日
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フルタ電機は、工場内送風機「フォローウインドFW2」シリーズの新機種を発売した。30ワットの電力で風速1メートルの風を16メートル先まで送風できる。消費税抜きの価格は三相200ボルト仕様が7万円、単相100ボルト仕様と新設定の同200ボルト仕様は7万1000円。
暑熱対策のスポット送風のほか、屋上扇や集塵機に向けた送風、環境に配慮した場所への連続送風などの用途を想定する。新製品は騒音値52デシベルと静かで、天井スペースの問題などでダクト配管が難しい環境でもスポット送風を実現する。
工場内送風機で遠方まで風を送るには大出力の送風機を使うことが多い。新製品は省エネルギー化と送風音の低減を求める現場のニーズに応えて開発した。
- 2020年8月18日
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- 2020年8月17日
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TANOIは、歯科機器部品や自動車向け精密部品の生産を効率化する。年内に電解バリ取り機を初めて導入し、これまで人手に頼っていた円筒形部品のバリ取りを自動化する。同部品の生産能力を現行の月産約3000個から同1万個超に高める。量産体制を強化し受注増を狙う。
約1800万円を投じ、本社工場にアクリテック製の電解バリ取り装置を2台導入する。同装置は加工対象物(ワーク)を治具電極に固定して電解液に浸し、電解現象を制御することで厚さが0・05ミリメートルほどの微細なバリを短時間で取り除く。
円筒形部品の交差穴や内面段付き部などに生じるバリの除去に活用する。TANOIで治具を内製し、1回で最大5個の部品のバリを約20秒で除去できるようにする。
現在、精密部品は本社工場とベトナム拠点で量産し、仕上げ加工は本社工場で行っている。微細なバリの除去は特別な技術が必要で継承が難しく、人手による作業時間は部品1個当たり1分ほど要していた。
田野井社長は「社内で仕上げ加工ができる技術者は少ない。後工程で問題が起きると量産が止まるリスクがあった」と明かす。導入後は複数の部品形状に対応するための治具を製作し、多台持ちで運用するなど生産性向上に取り組む。
- 2020年8月17日
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- 2020年8月12日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)が発表した2020年上期(1―6月)の車名別新車販売によると、ホンダの軽自動車「N―BOX」が前年同期比22・7%減の10万1454台と大幅に落ちたものの、登録車を含めた全体で4年連続の首位となった。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要減退があったが、2位はスズキの軽「スペーシア」、3位はダイハツ工業の軽「タント」と軽の強さを印象づけた。トヨタ自動車が19年11月に発売した4位の小型スポーツ多目的車(SUV)「ライズ」が軽を除く登録車で首位を獲得した。前年同期に登録車で首位となったトヨタの「プリウス」は16位だった。
6月単月では1位がホンダの「N―BOX」、2位がトヨタの「ライズ」、3位がスズキの「スペーシア」だった。
- 2020年8月12日
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- 2020年8月11日
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DMG森精機は、伊賀事業所内の展示施設をフルコンピューターグラフィックス(CG)で再現した「デジタルツインショールーム」を公開した。360度のパノラマビューにより、実際の施設を歩くような感覚で工作機械の外観や加工イメージなどを閲覧できる。24時間いつでも気軽に訪問できる体制により、顧客に最適な機械・技術を訴求する。
4K画質による鮮明な映像に仕上げ、日本語版と英語版を同時公開した。制作費は約2000万円。5軸加工機や金属積層造形(AM)機など45機種のほか、自動化システムや工具などの周辺機器をデジタル化して展示しており、カタログのダウンロードや商品の購入が可能。オンラインセミナーにも申し込める。
また同ショールーム上で、機械と自動化技術などを融合したシステムソリューションの導入モデルを9月をめどに公開する。工具、ロボットメーカーとの共同展示会なども今後検討する。
DMG森精機は、ショールームをはじめとするデジタル化の取り組みを今後も拡充し「100%現場で行っていた仕事の7割をデジタルが担い、残りの部分は現場で行うように使い分けていきたい」(森雅彦社長)としている。
- 2020年8月11日
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- 2020年8月10日
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太陽工機は、本社工場内に研削技術研究所を開設した。総額約2億円を投じて最新の同社製研削盤を設置。新たな要素技術・加工技術を研究開発するほか、設備購入を検討するユーザーからのテスト加工の依頼などにも応じる。今後は月4―5件のテスト加工依頼に応じ、提案営業の強化につなげたい考えだ。
研究所は約230平方メートルのスペースに立型研削盤4台と横型研削盤2台を設置。効率的な研削技術の研究や、ユーザーの実機見学、テスト加工の受託などに対応する。同社社員の能力向上のための教育機関としても活用する。
ユーザーは事前に研削盤の加工精度を確認できるメリットがある。太陽工機にとっては納品までのリードタイムや、納品後の機械の立ち上がり時間を短縮する効果が見込める。
従来もテスト加工の要望は受けていたが、専用の研削盤がなかったため月1、2件の実施にとどまっていた。渡辺剛社長は「設備投資したくても(新型コロナウイルス感染症などで)先行き不透明感が強いため二の足を踏むユーザーが多い。研究所は加工精度の情報を事前に提供できるので、投資判断の一つの材料にしてほしい」としている。
- 2020年8月10日
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- 2020年8月7日
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アイエスツールは、切削工具の再研磨などを行うための加工能力を増強した。約2億円を投じ本社工場を拡張、工具研削盤を増設した。取引先数の増加や小ロット・短納期品への対応能力を高める。
本社工場の延べ床面積は1050平方メートルとなり、従来の約1・5倍に拡張した。ここに数値制御(NC)工具研削盤5台を追加導入。ワイヤカット放電加工機も1台導入した。これにより、工具の加工能力は従来のほぼ2倍近くに増強した。
アイエスツールは2008年創業で、切削工具の再研磨と特殊工具の製作が本業。再研磨では、小ロット品や短納期品へのこまめな対応が好評を得て、新興企業ながら現在の取引先は1カ月当たり約900社に広がっているという。
不況時には客先の生産数量が減る一方で開発案件が増える。このため工具の再研磨も、小ロット品や短納期仕上げの依頼が増加する。目下の“コロナ不況”でも同様の状況。工場の増強に加えて、大口顧客との取引を広げず、むしろ取引先の数を増やす営業方針により不況下でも対応できているという。
加えて技術開発専門の部署を設置した。新しい加工法や特殊工具を開発する体制の強化が目的。医療機器など最先端のニーズに応える工具の開発をスピードアップする。
- 2020年8月7日
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- 2020年8月6日
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ダイセル・エボニック(東京都)の高機能樹脂のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が、自動車用ギア部品向けに採用される見通しになった。量産を前提に開発を進めている。物体が滑りやすい摺動(しゅうどう)性や耐熱性に優れるPEEKを用いて、より小さい歯車で金属部品と同じトルクを伝達でき、車の静粛性や軽量化に貢献する。
PEEKは耐摩耗性に優れ、一方の部品の素材を傷つけずに摺動する。かみ合う歯車の一部をPEEKに置き換えるだけで2―3デシベル下げることができ、置き換え前と比べて音が半減した体感を得られるという。
詳細は明らかにしていないが、現在、複数の国内自動車関連メーカーと試験を進めている。これまではトランスミッション部品のシールリングやステアリング位置調整スピンドルナットなどに採用されてきた。重要なギア部品に採用されることで、用途が広がる可能性が高まった。
ダイセル・エボニックは今後、電動シート部品やカーエアコン内部のギアなどにも提案していく。動力を伝達する回転軸であるエンジンカウンターシャフト、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けモーターの電気絶縁被覆用途も想定しており、金属や他素材からPEEKへの置き換えを狙っていく。
同社は独エボニックインダストリーズの中国工場で製造したPEEKを輸入し、開発陣とコンパウンド設備を持つ網干工場(兵庫県姫路市)で混練したのち、自動車部品メーカーに納入している。国内ユーザーの要望に迅速に対応できることを強みとしている。
- 2020年8月6日
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- 2020年8月5日
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富士精工はギアのスカイビング加工用ワークチャックを開発した。自動車業界などでギアを複合加工できる設備の導入が進んでいることに対応する。開発品は把持力と精度が高く、素早く交換できる。ジェイテクトの「ギアスカイビングセンター」に採用されたのを皮切りに拡販し、年間1億円の売り上げを目指す。
富士精工がギアスカイビングセンター用製品を展開するのは初めて。ギアスカイビングセンターは旋削・穴あけや歯切など複合的な加工を1台でできる。専用機を使うシェーパ加工やブローチ加工と比べ、高効率で省スペース化できることから、今後の歯車加工の主流になるとみられている。
開発したスカイビングチャックは、チャック外径250ミリメートル。ワーク内径110ミリメートルを約129キロニュートンで把持し、精度も10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下と高い。自動車業界向けに精密工具や周辺機器を開発から設計、製造まで一貫で行ってきた技術とノウハウを生かし、機種の変更に合わせ早く簡単に交換できるスカイビングチャックを完成した。
同社は自動車エンジンや変速機の加工用精密工具が主力。電動化など自動車業界の変革期に対応するため、新技術や新製品の開発に力を入れており、今回のスカイビングチャックもこの一環。ユーザーの自動化、省人化ニーズを受け、今後は自動段替えタイプの開発も進める方針だ。
- 2020年8月5日