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- 2023年4月19日
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タイヤメーカー4社の2023年12月期連結業績予想は、トーヨータイヤを除く3社が当期増益を見込む。半導体不足の緩和に伴いタイヤ需要も回復基調。売上高は全社が増収を予想した。原材料やエネルギーコスト高騰は引き続きリスクとなるが、価格転嫁や高付加価値製品の拡販により収益力を高める。
自動車生産が回復に転じるなか、23年12月期は全社がタイヤ販売本数の増加を見込む。ブリヂストンは乗用車やライトトラック用で前年比1―5%、トラック・バス用で同6―10%増加すると予想。住友ゴム工業は同5%、横浜ゴムは同5%、トーヨータイヤは同8%伸長すると予測する。
23年12月期も天然ゴム、原油やエネルギーの高騰が利益の押し下げ要因となる中、価格転嫁が引き続き焦点だ。その中で住友ゴムやトーヨータイヤは、海上運賃の高騰が緩和するほか価格改定の効果を見込むとした。
住友ゴムは当期利益で同91・2%増の180億円と大幅な回復を予想。トーヨータイヤは投資有価証券売却益を計上し過去最高となった22年12月期に対して当期利益は減益を予想するが、営業利益で増益を見込む。
ブリヂストンは高付加価値製品への注力を強みに値上げを実施したことで22年12月期はコスト高をカバー。石橋秀一グローバル最高経営責任者(CEO)は「ブランドや(販売)チャネルを含め、価格を上げられる強い基盤ができつつある」とし、23年12月期も継続的な値上げを視野に入れる。横浜ゴムも消費財分野において高級車向け旗艦ブランドなど「高付加価値商品の比率を47%に高める」(山石昌孝社長)計画。
- 2023年4月19日
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- 2023年4月18日
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トーカロイは、3月1日付で関東営業所(さいたま市大宮区)を開所し、超硬合金素材や金型部品などの営業体制を拡充した。本社、岡山支社、神戸営業所に続く4拠点目となる。不十分だった愛知県以東の顧客の対応を強化する。
現在、関東圏の売上高は全体の約1%で、2年後の2025年度(26年3月期)までに15%への引き上げを目指す。
トーカロイはトーカロイホールディングスの販売子会社で、超硬合金素材や金型部品、スプレーノズルを販売。コンピューター利用解析(CAE)を使った迅速な改良提案を強みとする。
現在は自動車関連向けが売上高の約6割を占める。関東営業所の開所を契機に、より広範囲な分野の開拓に努める。電気自動車(EV)関連の部品の受注に注力するとともに、営業エリアの拡大によるリスク分散も狙う。
トーカロイは22年4月に、グループの経営体制を再編。岡山県津山市に本社を置くトーカロイHDの傘下に、販売子会社のトーカロイと生産会社2社を置く形に改めた。岡山県の生産子会社にあった営業部署をトーカロイの岡山支社に再編するなどして、営業はトーカロイに一本化した。
トーカロイは自動車関連製品の提案が得意な本社と、弱電機械製品に強い岡山支社とがワンチームとなり、お互いの強みを生かしながら幅広く顧客のニーズに応える体制が整った。松本社長は「HD化の良さをここから出していく」と意気込む。
- 2023年4月18日
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- 2023年4月17日
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岐阜ギヤー工業は、工作機械用などの歯車の生産体制を増強する。5軸制御加工機と小型ネジ研削盤を各1台導入した。さらに7―10月に複合加工機、内面研削盤、数値制御(NC)フライス盤を各1台追加する。投資額は合計で約2億円。4月に5人の新入社員を迎え人的体制も拡充する。生産効率・品質の向上と短納期化を進め、今後の需要増に備え対応力を高める。
導入した5軸制御加工機はドイツ製で、制御装置の即応性が高いのが特徴。半導体などの品不足で工作機械の納期が長期化する中、将来の需要増も見越して導入した。小型ネジ研削盤は長さが200ミリ―300ミリメートル程度の比較的小型のウォームギア加工用。既存設備では対応しにくかった小物の加工を効率化する。
7―10月に追加する3台の設備は24年1月期の投資計画による。いずれもボトルネックの解消のため。25年1月期も同様に1億円程度の設備投資をする方針。採用活動は、ホームページ(HP)の刷新や学生向けの企業紹介展示会への出展などを強化しており、今後も継続する。
岐阜ギヤー工業は単品や少ロットの高精度で加工の難易度が高い歯車を得意とする。従業員は47人で21年1月期の売上高は7億7000万円。新規設備の追加により、主力の工作機械・産業機械向けに加え、低調だった航空機用や自動車用の試作も今後は上向くと期待し、全体の対応力を高める。
- 2023年4月17日
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- 2023年4月14日
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DMG森精機は、小型のターニングセンターや複合加工機に搭載可能な主軸「ターンマスター12in.C」を発売開始した。主軸ユニットのサイズを従来比18%縮小し、チャックサイズが6―8インチの小型工作機械に12インチのチャックを搭載可能。小型から中型部品の加工に1台の機械で対応することで、生産性向上を実現する。
同社製の高性能主軸「マスターシリーズ」の新製品で、3年間の無償保証を設定。搭載可能機種は同社の複合加工機「NTX1000 2nd Generation」で、今後ほかの機種にも展開する。
最大直径105ミリメートルの棒材を挿入可能。バーフィーダーと連結することで、素材供給の自動化にも対応する。
12インチチャック用主軸と同じ構造を持つため、従来の8インチ主軸と比べて剛性を2・6倍、ブレーキトルクを2・2倍に高めた。最高回転速度は毎分3000回転。高剛性と高速加工により加工時間を短縮できるため、二酸化炭素(CO2)排出量や消費電力の削減が見込める。
また高精度エンコーダーの搭載により、ミーリング仕様時のC軸割り出し精度も高めた。
- 2023年4月14日
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- 2023年4月13日
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ダイジェット工業は超硬工具の開発に力を入れている。その中で切削加工の精度を高め、自動化に貢献しているのが高送り加工用工具だ。削る際の切れ込み角度を浅くすることで工具の振動を抑え、作業能率を上げるもので、荒加工に使われる。行成伸二業務役員兼切削技術部長は「折れにくく加工精度が高い高送り加工工具は、これまで難しかった金型加工の自動化も可能にした」と胸を張る。
金属を削る際に振動はつきものだ。ただ深い角度で一気に削ると振動も大きくなり、工具の破損や加工精度の低下につながりやすい。切れ込みの大きい従来の工具は「加工途中で折れたり、精度が出ず仕上げの際に負担がかかったりする」(同)こともあった。損傷した工具を作業者が頻繁に取り換える必要があるため、金型加工の自動化が進まない要因の一つになっていた。
一方、高送り加工は工具を浅く傾けて削ることで振動を抑え、工具の長寿命化につながるため、取り換え頻度を抑えることができる。一度に削り取る量は少なくなるが、送りを速めることで従来と遜色ない時間で加工でき、金型などの切削加工の自動化に役立つ。切れ込みが浅いため熱の発生を抑える効果もあり、チタンなど熱のこもりやすい材料を削る際にも有効だという。
近年は加工能率を改善するため「インサート(交換用の刃先)を小さくして数を増やし、加工効率を上げる」(同)工具の需要が増えている。ただ「材料によっては刃数を増やすと逆に振動が出やすくなるものもある」(同)といい、材料に合わせた工具の形状や刃数の調整にノウハウが必要だ。同社は荒加工用工具だけでも140種と豊富なラインアップをそろえ、顧客の要望に応える。
電気自動車(EV)の普及に伴い「セラミックスなど軽くて硬い素材の製品が拡大しており、それに伴って高難度の加工も増えている」(同)。工具材料の研究開発から完成品の製造まで一気通貫で行う同社の強みを生かし、今後も「高度化する加工に見合った工具を開発する」意向だ。
- 2023年4月13日
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- 2023年4月11日
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北川鉄工所は旋盤用のパワーチャックで国内シェア約6割の首位メーカー。加工対象物(ワーク)を「つかむ」という共通点を旗印に、ロボットハンドの開発・販売に力を入れている。
特徴は独自技術へのこだわりにある。自社開発のハンドを市場投入したのは2017年の「NTS」シリーズから。旋盤用チャックと同様、爪を開閉させる機構に、斜めに切った溝の上をプランジャーが往復する「ウェッジ機構」を採用し、高い把持力を実現した。
19年には、測長用の磁気式スケールを内蔵した「NPGT_S」シリーズを発売。測定誤差はプラスマイナス2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。ワークをつかみながら同時に寸法測定できるため工程集約につながり、タクトタイムを落とさず全数検査を可能にした。
用途も広がっている。寸法測定機能を利用してワークに切りくずが残っていないかを判別したり、つかむと同時に加工部分の寸法が公差に収まっているかを確認し、合否判定したりといった使用事例が出てきた。「22年秋の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)では、この製品を名指しでブースに見に来たお客さまもおり、手応えを感じている」と、中本幸之介ロボットアクセサリー事業室長は話す。
人間とロボットの間に安全柵を設けず、ともに作業する協働ロボット向けにも引き合いが増えてきた。「クイックジョーチェンジグリッパ」は、ワークをつかむ爪(ジョー)の着脱が、バネ仕掛けのノブを引っ張るだけで工具なしで数秒で済む。「クイックプレートチェンジグリッパ」はジョーを取り付ける面盤の交換が数秒で終わり、三つ爪、二つ爪を切り替えられる。高価で重いハンドチェンジャーが不要になる。
ロボットハンドで先行するのはドイツのシュンク。北川鉄工所も1987年から12年まではシュンク製品の販売を手がけていた。中本室長は「独自技術を生かした製品のラインアップを拡充していきたい」と力を込める。
- 2023年4月11日
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- 2023年4月10日
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名古屋工業大学とシー・ケィ・ケーは、超硬切削工具の寿命を標準品の3―20倍ほどに伸ばせる技術を共同開発した。超硬合金に微量の他元素を加えるレーザードーピング(LD)により実現した。シー・ケィ・ケーは今春をめどに同技術を用いた超硬ドリル、超硬エンドミルを発売する。価格は標準品の2倍程度になる見込みだが、長寿命化の効果によってランニングコストの大幅低減が期待される。
LDは金属材料に他元素を塗布した後、レーザーを照射して母材の性質を制御する技術。江龍修名工大理事・副学長の研究成果を、シー・ケィ・ケーが超硬工具の表面処理に応用した。超硬工具の母材となる炭化タングステン(WC)の表面の強化する層に、硬質材料で構成するドーピング材を塗布し、レーザーを照射する。
WCの強化層は照射によって原子間にすき間が生じ、そこにドーピング材が入り込む。これにより原子同士の結合力が高まり、WCの硬度が上がったり、もろさが改善したりして、長寿命化する。
同社は超硬工具の受託生産を主に手がけている。これまで自社ブランドでの工具は販売していなかったが、今回の長寿命化した超硬工具の開発を機に、自社製品の販売事業に乗り出す。
LDはドリル、エンドミルだけでなく旋削チップに対する長寿命化の効果も確認している。ただ、同社は旋削チップの生産ラインを持っていないため、市販の旋削チップにLDの加工処理する事業を販売事業とあわせて展開する考えだ。
- 2023年4月10日
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- 2023年4月6日
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パーカー熱処理工業と広築は、鋼材製品の表面硬化に用いる制御窒化処理設備を共同開発した。人が行っていた炉内雰囲気の定点管理に代わり、高度なフィードバック制御によるリアルタイム管理を実現。管理の精度向上で、人の練度や操業環境に左右されない安定した品質を再現できる。価格は加工物のサイズに応じて5000万―1億円程度を想定。金属加工メーカーを中心に初年度5台の販売を目指す。
開発した設備は、広築製の真空パージ式横型窒化炉「RAV―N」と、パーカー熱処理工業製の窒化ポテンシャル制御ユニット「NITRONAVI」で構成する。処理状況の履歴をデータで保存可能。さらにさまざまな鋼材製品に求められる耐摩耗性、耐食性、耐疲労性などの製品特性に合わせた最適なレシピを両社が開発・提供することで、ユーザーの競争力向上に貢献する。
高品質・低コスト化のニーズに加え、環境負荷低減、生産現場の労働力確保などの社会的課題に対応するため、両社の独自技術の強みを活用。窒化処理が本来持つ可能性を最大限に引き出すことを目指した。
- 2023年4月6日
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- 2023年4月5日
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乗用車メーカー8社が発表した2022年の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年比1・8%増の2397万886台となり、2年連続で前年実績を上回った。国内生産が半導体不足の影響で落ち込んだものの、海外生産の復調で補った。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大前の19年の実績(2780万813台)とは400万台程度の差があり、回復はまだ道半ばだ。
国内生産は同0・1%減の738万6544台、国内販売は同4・6%減の383万8139台だった。国内生産・販売がともに前年を下回るのは4年連続。半導体不足や新型コロナ感染拡大による中国・上海のロックダウンで生産調整を強いられたことが響いた。海外生産は同2・6%増の1658万4342台。2年連続で前年を上回った。
トヨタ自動車は国内生産、販売ともに前年を大きく割り込んだ。国内生産は同7・7%減の265万6009台で、1975年以降で76年に次いで2番目に低くなった。「半導体を多く使う国内の高価格帯を中心に影響を大きく受けた」という。
海外生産は過去最高となる同11・7%増の637万704台だった。工場の能力増強などが奏功し、2年連続で前年を上回った。一方で日産自動車は5年連続、ホンダは4年連続で海外生産が前年を下回った。
- 2023年4月5日
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- 2023年4月3日
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トヨタ自動車が発表した2022年の世界販売実績(ダイハツ工業、日野自動車含む)は前年比0・1%減の1048万3024台で、独フォルクスワーゲン(VW)を上回り3年連続で首位だった。新型コロナウイルス感染拡大や半導体不足が影響したが、主に東南アジアで堅調な需要を維持した。
トヨタ・レクサスブランドでは、世界販売は同0・5%減の956万6961台で、同7%減の826万2800台だったVWを越えた。海外は販売と生産で過去最高だった一方、国内生産は高級車構成比が高い関係で同7・7%減の265万6009台に減少。1976年に次いで2番目に低い水準だった。
販売では同20・5%増に伸びたタイなど東南アジアのほか、同18・4%増の中東やオセアニア、アフリカの販売が堅調だった。
ハイブリッド車(HV)など電動車販売は同4%増272万6263台で、電気自動車(EV)販売は同69・8%増の2万4466台でどちらも過去最高だった。
- 2023年4月3日
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- 2023年3月31日
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MOLDINOは、金型の荒加工用工具市場を深掘りする、高能率の側面切削に適した超硬エンドミルをこのほど市場投入した。
現在主流となっている等高線加工と比べて、加工時間の大幅な短縮とともに工具の集約化を実現する。側面切削向けの工具をそろえることで「荒加工におけるもう一つの選択肢」として提案する。
発売した高能率側面切削用エンドミル「ER5HS―PN」は「首下3・5DCタイプ」と「同5DCタイプ」にそれぞれ6アイテムを設定した。
5枚刃・不等分割の形状やチップブレーカーの採用により、防振性と耐欠損性、切りくず排出性が向上。高能率側面切削に適した工具特性を持たせた。
コンピューター利用製造(CAM)に搭載される負荷制御ツールパス(加工経路)との組み合わせにより、工具欠損が発生しやすい金型隅部での加工安定性を高め、刃長全体を使った大きな軸方向切り込み量で高能率加工を実現した。軸方向切り込みは最大で工具径の3倍に設定できる。
また高送り工具や削り残し用工具を使うことなく、1本の工具ですべての荒加工を行えるため、工程と工具の集約に寄与する。
- 2023年3月31日
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- 2023年3月30日
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OSGは超硬エンドミルの生産体制を増強する。大池工場を建て直して量産しやすい体制を整えるとともに、グループ会社のエスデイ製作所(茨城県常総市)が小ロット向けの新工場を建設する。グループ内をまたいだ生産分業によって、超硬エンドミルの供給強化を狙う。総投資額は詰めているが、OSGの大沢伸朗社長は「80億円ぐらいまでに抑えたい」としている。
大池工場のリニューアル工事は2024年に着工。工場の稼働と工事を並行して進める考えだ。エスデイの新工場は23年内に着工する計画で、稼働時期は未定。
大池工場はデジタル技術を取り入れた自動化を進め、「効率性を追求した新しい工場にする」。一方、生産コストが高く、作るのに手間がかかる小ロットの製品についてはエスデイの新工場が担当する分業体制を敷く。大池工場の建設資金調達にはグリーンボンド(環境債)発行を検討している。
OSGの22年11月期連結決算は売上高が1425億円(前期比13・0%増)で過去最高だった。23年11月期連結は、それを上回る1450億円(同1・7%増)を予想しており、好調な業績が続くと見込んでいる。成長分野として微細精密加工の需要の取り組みに注力しており、超硬エンドミル生産の拡充は、その施策の一環となる。
- 2023年3月30日
