-
- 2023年12月7日
-
ブラザー工業は小型マシニングセンター(MC)「スピーディオ」シリーズのオプションで、加工対象物(ワーク)を搬送するローディングシステム「BV7―870Ad」を発売した。対象をスピーディオに限定し、動作を4軸にすることで、シンプルな動きとティーチングの容易さを実現した。消費税抜きの価格は316万円(ローダー本体、架台、側面扉、バルブ等一式を含む)。
独ハノーバーで開催された欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2023」で初公開した。
架台をスピーディオ本体側面に直結し、アーム本体を水平方向に動作させる駆動機構「TR軸」と二つのアームを回転させる「J1軸」「J2軸」、アーム先端に取り付けたハンドを回転させる「J3軸」の計4軸で構成する。スピーディオ本体と一体になり、アームの中にモーター、配線、配管などを納めることで省スペース化を実現した。
工場のレイアウトに合わせて、機械側面の右側、左側のどちらにも取り付けられる。加工部品の着脱は側面から行い、新システムを制御するコントローラーはスピーディオ本体背面の制御盤に内蔵しているため、機械前面のスペースが空き、設置なしの機械と同様の作業が可能となる。
新システムについて、「設置にコストや手間暇がかかる、使い回しが難しいといった中小企業の自動化のハードルを軽減しようというのが狙いだ」としている。
- 2023年12月7日
-
- 2023年12月6日
-
乗用車メーカー8社が発表した10月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比12・2%増の237万1355台となり、9カ月連続で前年同月を上回った。メーカー別ではダイハツ工業を除く7社が前年同月を上回った。全体として半導体の不足の解消が進み、各社の生産回復傾向が続いている。地域別では中国の生産が減っている一方、インドでは需要が堅調に推移して、トヨタ自動車やスズキが生産を増やした。
トヨタの世界生産は前年同月比16・7%増の90万285台で10カ月連続のプラスで、10月として過去最高。そのうち海外生産は同8・7%増の61万7590台で単月として過去最高となった。
各社が苦戦する中国の生産は、生産撤退した三菱自のほかに、日産が同35・6%減、ホンダが同12・3%減、トヨタが同2・6%減だった。そのほかのアジア地域ではトヨタがタイやベトナムで経済低迷の影響を受け前年同月比マイナス。三菱自がインドネシアで同マイナスだった。
一方、インドではトヨタが同82・0%増、スズキが同13・0%増と増えた。北米はトヨタ、日産、ホンダがともに生産を増やした。
国内生産は8社合計で同19・0%増の77万9814台で、6社が前年同月を上回った。前年同月を下回ったダイハツは新車種投入で好調だった前年同月の反動があり、SUBARU(スバル)はおおむね想定通りの生産台数だった。
世界販売は中国の減少が響く三菱自を除いて7社が前年同期を上回り、トヨタ、スズキ、ダイハツは10月として過去最高だった。国内販売は8社合計で同11・5%増の37万1293台。マツダとダイハツを除く6社が前年同月を上回った。
- 2023年12月6日
-
- 2023年12月4日
-
トヨタ自動車がモノづくり革新に挑んでいる。このほど、大物部品を一体成形するギガキャストや、自走式の車両組み立てライン、次世代電池の試作ラインといった新たな生産技術を初公開した。キーワードは投資や生産準備期間などを半減する生産方式「BEVハーフ」と、デジタル技術を活用した「技能の継承」だ。新興の電気自動車(EV)メーカーが常識にとらわれない生産を実現する中、積み上げてきたモノづくり力を次世代でも強みにできるか。現場の取り組みが本格化している。
溶けたアルミニウムが流し込まれた、高さ6メートル、長さ15メートルほどのダイカスト装置。3分ほどで、両側に開いた型から厚さ4ミリメートルのリアフェンダー部の一体成形部品が取り出された。トヨタが明知工場で実証を進めているギガキャストの試作品だ。
特徴は、金型を分割して汎用部と専用部に分け、部品に応じて必要な型だけを交換する方式だ。少ない型の数で幅広い部品の成形に対応できると同時に、従来は24時間かかっていた型交換の時間を20分に短縮。担当者は「高度な寸法管理や設計技術が必要で、ほかにやっているところはない」と自負する。現状の装置の型締め力は4000トンだが、さらなる大型化や薄肉化も検討している。
このほか元町工場では、工場内に設置した6台のカメラで周辺を認識し自動走行するプラットフォーム(車台)に、シートなどを組み付ける様子を公開。完成した車を車両保管場所に自動で運ぶ新型ロボット「VLR」も披露した。9月から運用しており、2024年にはロボット台数を現状の1台から10台に増やし、同工場の全完成車両の運搬に広げる計画だ。
貞宝工場では、全固体電池の電極材料を「からくり」の原理を使って高精度に積層する治具や、バイポーラ型リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の電極塗布工程を公開。製造領域を統括する新郷和晃執行役員は、全固体電池開発の進捗について「成分開発のめどはついている。量産化には安定して安価に作るなど課題は多いが、5合目くらいには来ているのではないか」との認識を示す。
- 2023年12月4日
-
- 2023年12月1日
-
OSGは塑性変形によってネジ山を作る工具の盛り上げタップについて、従来の形状を一新し、新しいメカニズムで加工する「グリーン・タップ」を開発した。独ハノーバーで開催中の欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2023」で初公開した。従来より長寿命化するとともに、新たなタップ製造法の採用によって生産時の二酸化炭素(CO2)排出量を半減できる。2024年内に発売する予定。
グリーン・タップには、一般的な盛り上げタップにある直線状の溝がなく、「刃の山が出現と消滅を繰り返す」という特殊な形状をしている。これを穴に押し当てることで、従来の盛り上げタップとは異なるメカニズムでネジ山を形成する。従来品より長寿命化できる利点がある。
またタップの製造方法も新たに開発。製造時のCO2を半減でき、工具自体が長持ちすることによる廃棄量の削減とあわせて、環境負荷低減に高い効果を発揮するという。
開発を主導した溝口氏は「盛り上げタップが誕生してから大きく形状が変わることは今まで一度もない」と語る。開発ではコンピューター利用解析(CAE)を活用して、実物による試行回数を減らすなどの省力化に成功した。
- 2023年12月1日
-
- 2023年11月29日
-
中村留精密工業は、精密コンピューター数値制御(CNC)複合旋盤の新機種「SC―200ⅡL」を発売した。従来機種の高い加工剛性・作業性・精度を維持しつつ、長尺の加工対象物(ワーク)に対応する。従来はワンサイズ大きい機械で加工する必要があったワークを加工できる点を訴求し、拡販する。
シングルタレット機で加工径が最大390ミリメートル、加工長さが同522・8ミリメートル。ロングベッドを採用して芯間を伸ばすことで、フランジワークから長尺ワークまで対応可能にした。
主軸回転速度は毎分4500回転。ツールの旋回径は620ミリメートルで、8インチクラス以上の広い加工領域を確保した。角スライドを採用した高剛性スラントベッドにより、重切削や高精度加工にも対応する。また同社製の背面加工ユニット「又兵衛」とテールストックを選択可能。素材から完成品までを1台で加工できる。
加工精度・経時変化への要求が一層高まり、従来以上に高精度な機械が求められている中、新機種の提案を通じて加工現場の作業精度や生産性向上への貢献を図る。
- 2023年11月29日
-
- 2023年11月28日
-
日本の工作機械メーカーが欧州市場で工場自動化(FA)に貢献する製品を相次ぎ投入する。牧野フライス製作所は工作機械と周辺機器をつないだ自動化システムの制御やデータ活用をするソフトウエアを刷新する。ヤマザキマザックはパレット搬送型の自動化システムで工作機械の長時間の無人運転を支援する。欧州では労働需給の逼迫が続き、賃金上昇圧力も強い。生産現場の改善を後押しし、経営課題の解決に貢献する。
牧野フライス製作所はFAソフト「MAS―NX」を10月末に国内外で発売開始した。従来と比べ生産スケジューリングと工具管理機能を大幅に刷新。72時間先までの生産の進捗を「見える化」することで、現場の作業者が次に何をすべきかを明確に管理できるようにした。具体的にはロボットを活用した加工対象物(ワーク)の取り付けや、面取り、仕上げ加工といった工程ごとにかかった時間などを細かく把握できる。
製造現場では加工を含めたシステムの制御プログラムを自動生成して活用する動きが広がる一方、加工中の工具動作などを細かく把握するニーズが高まる。また同じ機種、同じ加工プログラムで、同じ素材のワークを加工しても、機種間で加工時間などに差が出ることがあり、こうした機差の把握や要因分析を支援し、生産の効率化に貢献する。
ヤマザキマザックは欧州で工場内の生産システムや物流システムと工作機械を連携させるパレット搬送型自動化システム「パレテック」の販売を本格化する。必要な素材や工具を無人フォークリフトが自動搬入することで、従来よりも長時間の無人運転を実現する。オークマは旋盤に工作機械内蔵型のロボットシステム「アームロイド」を組み込んだ機種や、協働ロボット、立体フレキシブル生産システム(FMS)などの提案を積極化する。
- 2023年11月28日
-
- 2023年11月24日
-
白山機工(石川県白山市)は、同社初となる研削盤用クーラントタンクを発売した。研削・研磨加工で排出されるスラッジを高精度に排除し、スラッジ回収・清掃コストを削減できる。自社で従来手がけていなかった分野の製品投入を通じて、工作機械用チップコンベヤーなど製品全体の提案力強化につなげる。価格は180万円(消費税抜き)から。
油性クーラントにも対応する。クーラントを顧客の加工条件に合わせた1次濾過装置で前処理を行い、ダーティー槽へ送る。
同槽は渦流式タンクでクーラントを循環させスラッジの体積を抑制し、タンク清掃の手間を減少させる。そこから特殊なフィルターケースに送り、クーラントの流れを利用しスラッジを固まりにして分離する。
フィルターは目詰まりが起きにくい構造のため、清掃や交換頻度を減らせる。分離したスラッジは下部に沈殿し、時間による自動制御でバルブが開きドレンボックスに排出する。ボックスは開閉式構造にして、バッグフィルターの回収作業を容易にした。
- 2023年11月24日
-
- 2023年11月22日
-
榎本工業(浜松市北区)は、自社製品の小型工作機械「CVN」シリーズで初となるマシニングセンター(MC)「同500」を開発し、発売した。機械サイズが小型で、小物部品の加工に最適な仕様に仕上げた。12本の工具収納が可能な自動工具交換装置(ATC)を搭載し、さまざまな加工に対応できる。消費税抜きの価格は1000万円から。年間15台の販売を目指す。
主軸サイズは20番。機械寸法は横750ミリ×奥行き1510ミリ×高さ2024ミリメートルで、設置面積が約1・1平方メートルと省スペースを実現した。3軸制御仕様で、軸移動量はX軸250ミリ×Y軸250ミリ×Z軸200ミリメートル。早送り速度はX、Y軸が毎分30メートル、Z軸が同15メートル。送り速度や主軸容量を抑えられるため、エネルギー効率が高い。
主にアルミダイカスト部品の2次加工などの用途を想定。工場以外での単独での使用のほか、加工ラインに組み込んで工程の一部を担当させて全体の稼働効率を高めるといった、小型機ならではの優位性を生かせる用途を提案する。
実機を本社のショールームに常設し、社内の部品加工やユーザーから依頼を受けたテスト加工に使用する。
榎本工業はCVNシリーズとして、これまでデスクトップサイズの数値制御(NC)フライス盤をはじめ、卓上サイズを中心に商品群を拡充してきた。
CVN500は卓上型機より大きく、市販の小型MCに比べると小さいサイズに設計することで、小物部品加工の新たなニーズを取り込む。
- 2023年11月22日
-
- 2023年11月21日
-
中村製作所(三重県四日市市)は、仕上げの研磨工程のみに特化した受注を開始する。そのため、太陽工機製の立型複合研削盤をこのほど導入した。周辺機器も含めた投資額は約6000万円。研磨加工で初年度3000万円の売り上げを目指す。
新たに導入した「CVG-9」は、主軸の振りが直径950ミリメートル、最大積載重量が2500キログラムで中・大型の加工対象物(ワーク)に対応する。タレット構造による2スピンドル仕様で、内径と外径、端面を高精度に加工できる。同社は15年ほど前から立型研削盤を使い始め、今回で5台目となる。
既に同型機を保有しており、得意とする切削から研削、研磨まで、複数工程の一貫受注において加工実績を重ね、研磨ノウハウを蓄積してきた。
今回の追加導入で研磨工程の生産能力を上げるとともに、値段や納期、精度、品質において、他の研磨に特化した企業との差別化を図る。発注元の部品メーカーの同工程における課題に対応する。
- 2023年11月21日
-
- 2023年11月20日
-
三菱マテリアルは、小物高精度部品旋削加工用の物理気相成長(PVD)コーテッド超硬材種「MS」シリーズに、インサート(刃先交換チップ)「MS7025」と「MS9025」を追加して発売した。耐摩耗性などに優れる。消費税込みの標準価格は代表型番の「DCGT070202ML―SN MS7025」が2145円。両製品合計で32アイテムを展開する。
MS7025は耐溶着性に優れる高潤滑層と摩耗進行を抑える高耐摩耗層をナノレベル(ナノは10億分の1)で制御。被膜損傷を抑え、耐溶着性と耐摩耗性を高めた。MS9025は耐欠損性に優れるほか、高い熱伝導率により刃先の熱を抑制し、刃先強度の低下を軽減できる。
- 2023年11月20日
-
- 2023年11月17日
-
スター精密は、自動車、油圧・空圧装置などさまざまな業種の部品加工に対応できるスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SP―20」を12月に発売すると発表した。最大加工径は標準仕様で同20・0ミリメートル。コレットチャックとガイドブッシュの選択によるオーバーサイズ仕様で同25・4ミリメートルまでの棒材を加工できる。機械本体の価格は消費税抜きで930万円。年間1500台の販売を目指す。
正面加工用刃物台にガイドブッシュを取り囲むように構成した門型刃物台を採用。手前側に最大8本の旋削用バイトを装着できる。
奥側に装備した7軸型のクロスドリルユニットは、5カ所をカートリッジ式ポジションとし、加工部品の形状に応じて多様な工具ユニットが装着可能。上部に配置した穴開け工具用スリーブホルダーは4軸型と5軸型のいずれかを選択できる。
正面側、背面側でさまざまな回転工具ユニットを使って工程分割とサイクルタイム短縮を図れる。
- 2023年11月17日
-
- 2023年11月15日
-
三賀(浜松市中区)は、自社ブランドの切削工具「NEXT」シリーズとして、アルミニウム製品加工用の超硬合金製エンドミル「NEXT―AL」を発売した。外径寸法は3ミリ―16ミリメートルの範囲で8種類。
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング仕様も用意し、価格は2900―2万6000円(同)。主要顧客である自動車部品メーカー向けを中心に拡販し、新商品全体で年間1200万円の販売を目指す。
特殊なすくい角の採用により、加工時のバリの発生を抑えられる。3枚刃構造としたことで、溝入れや肩削りなど幅広い加工に対応できる。DLCコーティング仕様は寿命と加工精度の安定化を実現した。
- 2023年11月15日
-
- 2023年11月14日
-
DMG森精機は2024年1月から5軸加工機の加工技術を認定する資格制度を始める。ウェブで試験を実施し、技術水準を4段階で評価する。24年末までに受験者数500人を目標とし、30年までに公的資格とすることを目指す。5軸加工機は工程集約や自動化による生産性向上、加工の高精度化に寄与する。5軸加工技術の普及や同技術を習得した高度専門技術者の地位向上などにつなげる。
新たな資格制度「5軸加工技術検定」は、切削加工や割り出し5軸加工の基礎の学習者が対象。受験料は税抜きで1万円。不正防止機能を備えたウェブ試験で実施する。
技術水準に応じた四つの資格を設定。そのうちの「ブロンズ」は5軸加工を理解し、既定の加工工程を立ち上げられるオペレーターを対象とし、「シルバー」では加工立ち上げ担当者が対象で、5軸加工の手順を理解し、安全に加工を立ち上げられる人材を認定する。
DMG森精機は技術者の育成も支援。機械操作など実践的な内容を学べる対面型のスクールやeラーニングサービスといった同社の既存の教育プログラムを提案する。新たにブロンズの試験範囲を自己学習できるコースの提供も予定する。
- 2023年11月14日