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- 2025年4月2日
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進興製作所は、2軸で高精度に加工できる横軸ロータリー研削盤「HRS―750Bm」を開発し、発売した。
粉じんの散乱防止のためフルカバー構造にするなどし、クリーンな環境が必要な半導体業界を中心に拡販を見込む。
ロータリー式で横型の研削盤は進興製作所として初めて。加工テーブルのサイズは、研削盤では一般的な直径600ミリメートルに対して750ミリメートルとし、車載向けなどに需要拡大が見込まれる炭化ケイ素(SiC)パワー半導体製造に要求されるサイズに対応した。
傾斜角度は、他の横型ロータリー研削盤ではプラスマイナス3度までの機種が多いが、HRS―750Bmはプラスマイナス10度まで傾けられる。これにより、これまでは傾斜が足りなかった円形の片・両刃カッターの製造に対応できる。操作はタッチパネル式で、プログラミングの知識がなくても直感的に使える。同社は機械制御のためのソフトを自社で開発しており、顧客の要望に合わせてカスタマイズできる。
永電磁チャックを使用しており、電力を使うのは着脱の際のみ。常に電力を使用する電磁チャックと比べて熱が発生しないため、熱による加工対象物(ワーク)の変形を防ぎ、より高精度に研削できる。
大きさは幅1700ミリ×奥行き3260ミリ×高さ1900ミリメートル。対応できるワークの最大寸法は高さが300ミリメートル、長さが直径800ミリの円形または1辺530ミリメートルの正方形で、最大重量は300キログラム。
- 2025年4月2日
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- 2025年3月31日
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スギノマシンは、加工対象物(ワーク)の歪みや寸法のバラつきなどを加工中にリアルタイムに検知・補正できるセンシング技術を開発した。第1弾として12月中に新機能を搭載したロボット溶接システムの受注を始める。人手不足や技能者の高齢化が顕著となる中、中小企業のモノづくりの自動化を後押しする。3年以内に新機能を搭載した各種装置50台の販売を目指す。
開発したセンシング技術は、独自のロボット制御とセンシング技術を組み合わせて実現した。まずロボット溶接システムに搭載を計画しており、TIG(タングステン不活性ガス)溶接とファイバー溶接に対応する。今後、多様な産業機械向けに順次展開していく。
ロボット溶接システムはロボットアームに取り付けた光学スキャンセンサーでワークを3次元(3D)計測し、歪みや寸法のバラつきを把握。溶接と同時並行で、歪みや寸法のバラつきをプラスマイナス10ミリメートルの範囲で補正できる機能「アクティブトラッキング」を搭載した。
スギノマシンの従来品でも3Dカメラによるスキャニングで、ワークのバラつきに合わせた動作経路の自動生成は可能だった。ただ、スキャニングと溶接で2工程を要していた。新技術は精度や品質を担保した上で両工程を同時に行えるため、生産性を一層高められる。
通常、溶接中のワークの歪みを抑えるには専用の治具が必要になる。治具の製作には時間とコストがかかり、中小企業の負担になっている。新システムを活用すれば簡単な位置決め治具で済む。
複雑形状の溶接や少量多品種の溶接は作業者の手で行われるケースが多い。ただ、担い手不足や技能者の高齢化が進み、中小企業では事業継続のリスクになりかねない状況だ。杉野岳副社長は「今回の開発技術で、日本のモノづくりの課題である人手不足解消と技能継承に貢献したい」と話す。
- 2025年3月31日
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- 2025年3月27日
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DMG森精機は独Mahr(マール)グループ(ゲッティンゲン)とパートナーシップを結び、マールグループの表面粗さ測定機を、「DMQP」(DMG森精機認定周辺機器)に認定した。DMG森精機の工作機械内で加工対象物(ワーク)の表面粗さを直接自動測定でき、加工工程の生産性向上に貢献する。
今回認定した測定機「MarSurfMC510」は、表面粗さ(Rz)の測定精度が最大1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。測定時に自動工具交換装置(ATC)に搭載していた同測定機を工具主軸に装着して測定する。外部パソコンからソフトウエアで計測工程を制御でき、無線通信を介して同測定機と双方向通信する。パソコンはデータ通信規格「OPC UA」で数値制御(NC)プログラムとも連携し、計測データを分析にも活用できる。
森雅彦社長は「工程集約された加工プロセスでワークの計測結果をフィードバックできることは、今後、クローズドループ制御のアプリケーションの礎となる」とし、既に同分野で大学との共同研究にも乗り出した。
DMG森精機は優れた周辺機器をDMQPとして認定し、加工ニーズに応じて同社製工作機械と組み合わせて提供する。加工工程の集約や早期立ち上げなどを支援している。
- 2025年3月27日
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- 2025年3月26日
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日産自動車は金型製作時の磨き作業を機械化する切削工具を開発した。北米向けの高級車ブランド「インフィニティ」の旗艦モデル「QX80」の外板部品用の金型製作で同工具を採用した。
金型の高精度化・高品質化により意匠性を高められるほか、熟練作業者による重作業を削減し働きやすい環境づくりに貢献できる。
開発した「金型磨きレス加工用工具」は、切削加工と加工面を平滑にするバニシング加工を同時に行う立方晶窒化ホウ素(CBN)ボールエンドミル。刃先に特殊研磨を施し、切り粉の発熱と刃先の摩耗を抑制。刃先形状と最適な加工条件により、工具の回転数や送り速度を変えることなく面粗度を向上できる。
通常の切削加工に比べて加工時間はかかるものの、後工程の人による磨き作業を削減することで「全体としては加工時間の短縮が図れるほか加工品質を向上できる」(車両生産技術開発本部)という。今後は技術開発を進め、順次適用する車種を広げる方針だ。
金型製作では機械加工後に、熟練作業者による砥石(といし)やサンドペーパーを使った磨き作業が発生する。技術の習熟や作業者の確保に加え、重作業で負担が大きいのが課題だった。
また、磨き作業によりCADデータと実際に加工する金型の一致率が低下する傾向にあるため、最終製品である外板のデザインに影響を与える場合があった。デザイナーの意匠を再現するため、機械化により作業のバラつきを軽減することが求められている。
- 2025年3月26日
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- 2025年3月25日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した2月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比3・5%増の1181億9800万円と、5カ月連続で増加した。全体の3割強を占めるアジアや同3割弱の日本がプラスとなり押し上げたが、受注総額は2カ月連続で1200億円を下回った。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「引き続き一進一退の横ばい基調が継続している」との見方を示した。
地域別の受注額は、中国が同16・9%増の266億円と11カ月連続で増加した。業種別では一般機械向けが同22・7%増、自動車向けが同27・3%増、電気・精密向けが同4・8%増だった。
中国は生産設備の更新費用を補助する景気刺激策にも支えられ、2月まで12カ月連続で250億円を超えた。2025年もこうした政策の継続・拡充が見込まれるが、稲葉会長は「米中貿易摩擦の行方が不透明で、景気刺激策の効果がどのくらい阻害されるのかは読めない」と慎重にみる。
北米は中核の米国が同2・0%増となり250億円を超えたが、メキシコは同39・8%減と低迷した。欧州はドイツが5カ月連続で35億円を超えるなど、2カ月ぶりに150億円を上回った。
業種別では航空・造船・輸送用機械向けの堅調さが目立った。日本は9年1カ月ぶりに40億円を超え、欧州は同21・3%増の30億円、北米でも40億円を上回った。稲葉会長は航空機メーカーが受注残を抱えていることもあり「欧米で航空宇宙関係が伸びている。しばらく続くことを期待している」と述べた。
日工会が3月に集計した4―6月期の受注見通しは、1―3月期と比べて「増加する」と回答した会員企業の割合が9・6%、「減少する」は13・7%で、差し引きした業況判断指数(DI)は4・1のマイナスとなったが、前回調査から4・1ポイント改善した。稲葉会長は自動車関係で新車開発プロジェクトの方向性が定まりつつあることなどから、「25年後半ごろからの持ち直しを期待している」とした。
- 2025年3月25日
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- 2025年3月21日
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ヤマザキマザックは新型の複合加工機「インテグレックスj―200 ネオ」シリーズを発売した。従来機から各仕様を強化して、生産性や複雑な多面形状の加工対象物(ワーク)への対応力を高めた。消費税抜きの価格は3210万円から。
旋削主軸の出力とトルクを向上させ、高生産性を実現した。また、標準仕様よりさらに出力・トルクを強化したハイパフォーマンス仕様も用意する。
ミル主軸のB軸割り出し範囲も拡大。従来機では5度単位だったB軸最小割り出し角度は、標準仕様で1度単位となった。全長を短縮したコンパクトミル主軸を採用したハイパフォーマンス仕様では0・0001度単位の高精度割り出しが可能で、さまざまな形状のワークの加工に対応する。
稼働中の消費電力をコンピューター数値制御(CNC)装置のモニター上に見える化する「エナジーセーバー」機能を搭載。インバーター式油圧ユニットやチラーユニットの採用により、消費電力も削減した。
- 2025年3月21日
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- 2025年3月20日
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サンスターは熱処理工程を省くことで製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を半減させた環境対応ブレーキディスク・パッドを2輪車のレース用として商品化した。焼き入れ(熱処理)をしないと材料強度が低下する弱点を持つが、独自のディンプル構造の採用と板厚の向上などでクリアした。今後、CO2やブレーキダストのさらなる削減に取り組み、2025年に量産車への採用を目指す。
「ブレーキディスクは熱処理するのが当たり前。そんな固定観念に縛られない風土が当社にはある」。環境負荷低減に向け開発したサンスター技研MC事業部技術営業部の品川佳範設計開発グループ長は、熱処理を省いた原動力をこう語る。
ブレーキディスクの製造工程は、金型を作ってプレス加工し、歪みを矯正した後、焼き入れ、外径・内径切削、研磨する流れが普通だ。ただディスク製造時のCO2排出量は焼き入れ工程が52%、プレスなど他工程が48%。そこで焼き入れをなくしてしまうことから検討を始めた。
ディスクはパッドのくずのクリーニングや放熱を目的に、円盤状の鉄板表面に複数の孔が開いている。ただ熱処理をしないと材料強度が低くなり、孔を起点にクラック(ひび割れ)が発生しやすく、熱変形が生じやすいデメリットがある。
これに対し、鉄板を突き抜ける孔の代わりに、貫通しないディンプル構造を採用。ディンプルの数も12個と少なくしてクラックの発生リスクの低減を狙った。だが実走の結果、ディンプルのない場所でパッドクリーニング効果が不足して滑りが生じ、振動が発生。逆に数を48個と大幅に増やした結果、孔に対する応力値を3分の2以下に低減できた。熱変形に対しても、ディスクの板厚を増やすことで剛性を高められた。
ただ焼き入れなしのディスク材料と既存のパッドの組み合わせでは、ディスク表面が荒れ、パッドの異常摩耗が発生した。そこで東海カーボンと共同で、パッドの最適化設計に着手。パッドの摩耗量削減と配合成分の銅不使用を可能にした。
この結果、まずレーザー加工をしてバリ取りし、歪み矯正、外径・内径切削、ディンプル加工、研磨へと流れる新工法を確立した。熱処理工程を廃止したことでCO2排出量を半減したほか、プレス加工をレーザー加工に変えたことで金型を不要にした。プレス加工をやめたことで研磨前精度も向上した。
24年夏の鈴鹿8時間耐久ロードレースでスズキ製2輪車にテスト装着、8位に入賞しており、ブレーキの性能や耐久性に問題はない。今後は「社内の製造工程だけでなく、材料メーカーと素材製造時のCO2削減にも取り組みたい」と品川グループ長は話す。錆びにくいステンレス素材の活用やブレーキダストの50%削減などを進め、2輪車だけでなく4輪車の量産車市場への展開も狙う。
- 2025年3月20日
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- 2025年3月19日
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ファースト・オートメーションは、生成人工知能(AI)で2次元(2D)の図面から3次元(3D)CADモデルを自動生成する技術の高度化に向けた実証実験を始める。AIに図面データを与えることで、形状や寸法を読み取り、3Dモデルに変換するサービスを開発中。
中小企業では2D図面から3DCADモデルに変換するスキルを持った人材が少なく、工数の削減も課題となる。海外も含めて競合サービスは少なく、ファースト・オートメーションは実証を通じて早期のサービス化につなげる。
開発中のサービスでは、同社の製造業向け生成AI「SPESILL(スペシル)」を活用。実証を通じてより多くの図面データをAIに学習させ、3DCADへの変換精度を向上させる。
ナツメでも3Dモデル化にかかる工数削減が課題となっていた。3DCADは、パソコン上で部品の形状や動作を事前にシミュレーションできるなどの利点もあるため、ファースト・オートメーションは企業からの引き合いも高いとみて、開発を進める。
同実証実験は、愛知県内の自治体や金融機関などの地域パートナーが、スタートアップとともに地域課題の解決に資する事業やサービスの開発を目指す事業共創プログラムの一環。ファースト・オートメーションは豊川市エリアから、実証協力企業としてナツメを紹介された。
- 2025年3月19日
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- 2025年3月18日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2月の車名別新車販売は、ホンダの軽自動車「N―BOX」が前年同月比13・8%増の1万8823台で2カ月連続の首位となった。前年同月は能登半島地震や認証不正問題の影響があったが、現在は生産・供給が戻り全般的に堅調さを維持している。
首位のN―BOXは全面刷新から1年以上が経過し新車効果が薄れているものの、前年に能登半島地震による部品調達難の影響で減産していた反動が大きく5カ月ぶりの前年同月比プラスとなった。
2位はスズキの軽「スペーシア」で前年同月比4・3%増の1万5715台。現行モデルの評価に加え、2024年9月に発売したアウトドア仕様の「スペーシアギア」のてこ入れが奏功している。3位はトヨタ自動車の小型車「ヤリス」で同22・0%増の1万5245台。ヤリスは25年2月に「ヤリスクロス」も含め一部改良を実施しており、今後も増販効果が期待される。
小型ミニバンでは6位のトヨタの「シエンタ」が同22・3%増の1万538台、7位のホンダの「フリード」が同22・9%増の8815台とそれぞれ好調。またトヨタの高級ミニバン「アルファード」は1月にガソリン車・ハイブリッド車(HV)の一部改良やプラグインハイブリッド車(PHV)も設定したことで同86・8%増の8034台と伸びた。
前年比で大幅な増加となったのがダイハツ工業。5位の軽「タント」が同6・3倍の1万2404台、9位の同「ムーヴ」が同6・8倍の8177台などと伸長した。前年の認証不正問題による低迷からの反動増が大きい。ダイハツがOEM(相手先ブランド)供給するトヨタの小型車「ライズ」は同7・3倍の7995台(12位)、同「ルーミー」も同7・6倍の7800台(14位)と伸びた。
- 2025年3月18日
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- 2025年3月17日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要4社の2月の工作機械受注実績は、前年同月比35・9%増の341億5400万円と9カ月連続で増加した。輸出が同47・7%増と大幅に伸び、3カ月続けて全社がプラスとなった。設備投資を計画通り進める企業を中心とした底堅い需要に支えられる形で、2024年後半からの回復基調が続いているようだ。
牧野フライス製作所は輸出が同26・6%増と大幅に増加したが、「24年2月の受注は世界的に底だった」と慎重にみる。地域別では中国や米国が伸び、中国では電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)関連向けの受注が継続したほか、「金型向けでも回復傾向がみられた」。
オークマも輸出が同38・1%増と大幅増となり、中国でのEV向けの大型受注などがけん引した。欧米は微増とほぼ横ばいだったが、「欧州で全体的に需要の回復の兆しがみられる」という。
中国市場が主力のツガミは輸出が同68・6%増と6カ月連続で増加し、回復傾向が継続している。同社幹部は「数カ月は同様の需要環境が続く」とみる。
芝浦機械は輸出が同3・2倍と大きく伸びた。中国で車載用カメラレンズ向けに超精密加工機の大型受注があり全体を押し上げたが、「スポット的な動き」と慎重な見方を示す。横中ぐり盤などの大型工作機械では、北米で航空機やエネルギー関連向けが、国内では造船関連や金属加工向けなどが増加した。
4社合計の国内は同10・4%増と7カ月連続で増加した。大手を中心に計画的な設備投資が続くほか、半導体関連では消耗品向けなど一部で動きがみられた。一方、中小企業では人手不足を背景に「加工工程の集約や自動化による連続運転に関心が高まっている」と、本格的な受注回復に期待する声も上がる。
- 2025年3月17日
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- 2025年3月7日
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共立精機は、ツールプリセッター(工具測定機)に新たな自動化機能を追加し、受注を始めた。工具をツールプリセッターで測定した後、工作機械まで搬送して交換する工程を自動化できる。工具管理の自動化をさらに推進し、慢性的な人手不足に悩む中小企業の課題解決に貢献する。価格は個別見積り。年間5セットの販売を目指す。
工具の形状、径や高さ、角度といった寸法を測定し、加工の段取り替えを効率化できるツールプリセッター「HP―6040―FA」に新機能を追加した。親会社であるスギノマシン(富山県滑川市)の自律移動ロボット(AMR)を活用し、ツールプリセッターで測定した工具を工作機械まで自動搬送する。
AMRにはロボットアームが搭載されており、工具の取り付けや交換も自動で行える。AMRは停止位置の誤差を補正する機能により、最大プラスマイナス5ミリメートルの停止精度を担保する。
ツールプリセッターには、計測する工具の刃先に付着した切り粉やホコリなどを人工知能(AI)で検知し、付着物を除いた寸法を正確に測定できる機能なども採用。工具管理の専用ソフトウエアも自社開発しており、工具、加工機、加工対象物(ワーク)の情報を一元管理できる。
- 2025年3月7日