-
- 2023年8月10日
-
スギノマシンは、最大6本の主軸を有する大型部品加工機「ギガフィーダ」を発売開始した。同機1台で穴あけやタップ加工、カッターやエンドミルを用いたフライス加工が可能。広い加工エリアが特徴で、アルミニウム製のバンパーやシャシー、電池ケースといった電気自動車(EV)向け大型部品の加工に適する。
新機種は装置1台当たり、最大6本の主軸を備える。各主軸が個別のプログラムで同時に加工を行うため、加工時間の大幅な短縮が可能。各主軸は自動工具交換装置(ATC)を装備し、各11本、最大66本のツールを搭載できる。
標準搭載する水平方向の主軸4本は、各軸ともX軸1850ミリ、Y軸1450ミリ、Z軸350ミリメートルのストロークを持ち、大型EV部品の加工に最適。加工対象物(ワーク)を縦置きして加工することで、省スペース化にもつなげた。
- 2023年8月10日
-
- 2023年8月7日
-
ファナックは小型切削加工機「ロボドリル」に簡易的な旋削機能などを追加した機種を開発し、9月に出荷を始める。電気自動車(EV)シフトが進む自動車業界ではアルミニウム部品の加工需要などが増加する一方、製品サイクルの短期化で多品種少量生産ニーズの拡大が見込まれる。複数の加工工程に対応し、EV部品など新たな需要を取り込む。
新機種「α―D28LiB5ADV Plus Y500」は、テーブルのY軸のストロークを従来機種比100ミリメートル増の500ミリメートルに拡張した。収納できる工具本数も同7本増の28本に拡大。ダイレクトドライブモーターを採用した回転テーブルも搭載し、旋削加工にも対応した。
またZ軸の移動速度を高めるなど生産性を向上。加工精度や加工時間重視といった各モードに応じて各種制御パラメーターの設定を最適化する機能を大幅に改良した。
EVではアルミ製のインバーターやモーターケースなどの加工需要が増加し、加工対象物(ワーク)も複雑化している。新機種ではテーブルの拡張で部品の大型化などに対応。旋削加工機能も設けることで複数工程を1台でこなせる。
EVは内燃機関(エンジン)車と比べ商品サイクルが短く、生産量も少ないとされる。部品単位のライフサイクルが長いエンジン車では、切削や旋削などの加工工程を細分化して量産効果を優先的に追求していた。EVでは加工工程を集約し、多様な加工に対応できる汎用性が求められている。
- 2023年8月7日
-
- 2023年8月4日
-
中村留精密工業は、本社敷地内に複合加工機を生産する第13工場を7月に竣工し、8月末から本格稼働する。建屋・設備への投資額は26億円。ユニット製作から組み立てまでの一気通貫による生産体制の構築や自動搬送の仕組みの活用により、従来の製造工程に比べて生産能力の35%増を見込む。
新工場は社内公募で「MAGI(マギ)」と名付けた。2階建てで総面積は7050平方メートル。既設の第11、12工場に隣接し、ユニットの製作や製品仕上げの組み立てを一気通貫で担う。夜間には無人搬送車(AGV)による自動搬送で翌日の段取りなどを行い、日中は一部部品の搬送を支援するなど作業効率を高める。さらにスタッカークレーン式の自動倉庫を一部併設し、2階へ部品を供給する。
同社は売上高の7割を輸出が占める。今後も世界の製造現場で工程集約や自動化に向けた複合加工機の需要が増加することを見据え、その生産能力の増強に踏み込む。
- 2023年8月4日
-
- 2023年8月3日
-
ファースト技研は、数値制御(NC)装置を使った自社製工作機械の遠隔管理サービスを始めた。顧客はパソコンなどで機械の稼働状況や異常発生などの情報を得られる。今後出荷する機械はすべてこのサービスに対応。2年間は無償で提供し、3年目以降の利用料は1台につき年間3万円(消費税別)となる見通し。機械購入者の3割の利用を目指す。
新サービスはユーザーの機械に搭載したNC装置から稼働データを収集。インターネット経由でデータセンターに集める。顧客は管理画面にログインすれば、機械の稼働状況や消費電力、各軸の電流値や温度などを確認できる。異常発生や加工完了情報をメールで通知する機能もある。
同社やNCメーカーのサービスマンは、異常発生時に遠隔地から診断することが可能になる。エラー内容が事前に把握でき、サービスの効率化が図れる。
同社の工作機械のNC装置は三菱電機製を搭載。このサービスも、三菱電機のシステム基盤を利用する。三菱電機のNC装置は最新機種の「M80V」なら専用ユニットの取り付けが不要。すでに導入済みの旧機種でも、専用ユニットを後付けすれば有償でサービスを利用できる。
- 2023年8月3日
-
- 2023年8月2日
-
中村製作所(三重県四日市市)は、ロボット関連向けの受注増に向け、横型マシニングセンター(MC)と立型コンピューター数値制御(CNC)旋盤を新たに導入した。総投資額は約1億2000万円。自動化や生産性向上を目的としたロボット需要が今後も続くと考え、設備増強を決めた。関連する部品加工の受注を拡大し、2023年6月期に14億円を見込む売上高を24年6月期に16億円に伸ばすことを目指す。
中村製作所はコロナ禍以降、主力の工作機械関連部品の受注が減少したため他の成長産業の受注拡大を図り、設備投資を続けている。ロボット関連の売上高に占める割合はまだ少ないが、今回の設備増強で中・大型ロボット部品関連の受注を伸ばし、割合を3割に引き上げる考えだ。
- 2023年8月2日
-
- 2023年8月1日
-
牧野フライス製作所は4軸横型マシニングセンター(MC)「a91nx」を発売した。半導体製造装置部品の大型化などに対応するため、加工対象物(ワーク)を取り付けて供給するパレットに縦横800ミリメートル角サイズを採用した。主軸の品ぞろえも増やし、多様な素材のワークに対応する。消費税抜きの価格は7800万円。12月から出荷し、年50台の販売を目指す。
ワークの大きさは直径最大1450ミリ×高さ同1450ミリメートルに対応する。パレットには最大2000キログラムのワークを積載できる。
主軸は回転数、出力、トルクに応じて選べるようにした。機械本体の作り込み精度と高い主軸性能により、重切削やアルミニウムの高速加工で高い切削能力も実現した。
クーラント(切削油)タンク内への撹拌用ノズルの採用などにより、保守負担の軽減や作業環境の改善も見込める。同社5軸横型MCとの混成ライン構築により、長時間連続運転による生産性向上などにも貢献する。
半導体製造装置や電気自動車(EV)の部品では、高精度に加えて大型化も進展。新機種の投入で半導体やEV需要に対応する。
- 2023年8月1日
-
- 2023年7月31日
-
サンワ金型は、同市内に建設中の新工場を11月に稼働する。同社は試作から金型製作、メンテナンスまでを一貫して手がける。電気自動車(EV)の拡大で生じる新たな金型需要を取り込むため、従来よりも高精度な加工を可能にするとともに、メンテナンス事業も強化する。新設備の導入で生産能力を従来の5割増にする計画。投資額は新本社工場の土地と建物、新規設備を合わせて約8億円。
新工場は2階建てで敷地面積は5207平方メートル。建築面積は732平方メートル、延べ床面積は824平方メートル。導入する設備はマシニングセンター(MC)や研磨機、ワイヤ加工機など合わせて9台。新設備の導入で、従来プラスマイナス10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)までだった精度を、プラスマイナス2マイクロメートルまで高められる。これにより、EV拡大で需要増を見込むセンサーやモーターなど高精度が必要な金型加工の受注を狙う。
サンワ金型は主に自動車部品の金型製作を手がけるが、今後は製品試作・メンテナンス・部品供給事業に力を入れる。新工場は10年以内に3期工事までを計画し、今回は1期目。1期工事の生産能力増強によりメンテナンス事業を拡大し、2026年5月期までに現状の5割増の売上高10億円を目指す。
2期工事では製品試作事業の拡大のため、共同開発する顧客が常駐できるシェアリングファクトリーを計画。
3期工事で部品供給事業の充実のため商社機能を強化する予定だ。
- 2023年7月31日
-
- 2023年7月27日
-
加工物をつかんだり、持ち上げたりするロボットハンドは作業の効率化に影響する大切な機構だ。射出成形機用取り出しロボットなどを手がけるスター精機は、ロボットハンド用パーツを装着するチャック製作を体験できる工房を本社に設置。ロボットメーカーとして培った知見を生かし、ユーザーの要望に応じて最適なチャックの製作をサポートしている。
2007年にロボットハンド用パーツを取り扱う専門部署「eins(アインツ)事業部」を設置。吸着パッドなど約1400点の部品を常時在庫しパーツ販売のほか、活用方法などの情報を発信している。
各種パーツを装着するハンドフレーム「ジャングルジムシリーズ」はヒット商品の一つ。薄肉ステンレス製パイプとパーツを取り付ける接続コネクターなどを組み合わせたフレームで、剛性を確保しつつ軽量化を実現。部品の位置調整、取り外しが容易で多様な使い方ができるのが特徴だ。このほか、ハンドをロボットに自動で脱着できるツールチェンジャーは、段取り替え時間を短縮し、効率化を支えている。
ロボットハンドは加工物の重さ、形状などに合わせて都度製作することが多い。製作にかかる手間やコストの軽減に貢献しようと、本社に設けたのが「チャック工房」だ。
ハンド製作に必要な工具、治具を備えており、部品選定から設計図の作成、組み立てまでを同社社員が教える。「適切な仕様でないと生産効率に影響するだけに、ユーザーの要望をよく理解することが大切」と細かなノウハウを提供している。予約制で利用は無料。名古屋市など近郊から週2―3社が利用している。
- 2023年7月27日
-
- 2023年7月26日
-
嶋田鉄工所は、複合加工が可能な2主軸1タレットの数値制御(NC)旋盤「2SI―8 Mk―Ⅱ」を発売した。二つの主軸を加工用と着脱用とで役割を分け、加工の間に加工対象物(ワーク)のローディングをできるようにし、機械の待機時間を抑える。従来機種よりチャック能力などを高め、幅広いワークに対応させた。標準仕様の価格は1750万円(消費税抜き)。年間30台の販売を目指す。
主軸はドラムという円形のテーブルに2本設置。片方の主軸はスライドドアで機械外部と仕切った加工室内にあり、もう一方はドアの外に出る構造にした。これにより室内での加工と外部でのローディングを同時進行可能。両作業が完了するとドアを開き、テーブルを180度旋回して、両方の主軸の位置と役割を逆転させる。
主軸は加工側が低く、ローディング側を高く配置。高精度と重切削に必要な低重心を確保しつつ、作業者が着脱時に腰をかがめる必要性を減らし、ローディングをしやすくした。外部の主軸上部にロボットも置けるデザインで、省スペースでの自動化も可能だ。
またビルトイン主軸モーターやドア開閉でのサーボモーターを採用し、各種動作を高速化。ドア開閉と主軸切り替え時にのみ生じる待機時間を、従来3・2―3・5秒ほどだったのを2・0―2・2秒ほどに短縮した。
- 2023年7月26日
-
- 2023年7月25日
-
日本工作機械工業会(日工会)が20日発表した1―6月期の工作機械受注実績(確報値)は、前年同期比15・7%減の7684億3700万円で5半期ぶりの減少となった。1―6月期の8000億円割れは2年ぶり。内需で幅広い業種が落ち込むなど、内外需ともに減少。過去2番目の受注実績だった前年同期からは落ち込んだものの、受注額は高水準を保った格好だ。
同日都内で会見した稲葉善治会長(ファナック会長)は「主要業種の需要動向が伸び悩む中で、一定の設備需要が下支えになることを確認できた半年だった」と分析。7―12月期について「7―8月も一進一退の状況が予想されるが、秋口以降の緩やかな反転を期待している」と述べた。
内需は前年同期比19・9%減の2520億8300万円で3年ぶりの減少。3000億円割れは2年ぶり。主要4業種は航空・造船・輸送用機械以外が減少し、電気・精密は半導体関連の減速により、4半期ぶりの350億円割れとなった。
外需も同13・5%減の5163億5400万円で、3年ぶりの減少となった。アジア、欧州、北米の主要3極では欧州以外が減少。中国は同22・5%減の1519億8900万円だった。
また6月単月の受注実績は、前年同月比21・1%減の1220億2500万円で6カ月連続の減少となったが、2カ月ぶりに1200億円を超えた。
内需は同30・4%減の408億5000万円で10カ月連続の減少。省エネルギー関連の補助金が需要を押し上げ、2カ月ぶりに400億円を超えた。
外需は同15・5%減の811億7500万円で6カ月連続の減少。中国は6カ月連続の減少で、2020年8月以来の200億円割れ。稲葉会長は中国市場について「政府がどのような景気浮揚策を打ち出すか注目している。夏過ぎから暮れには上向くと期待している」と見通した。
- 2023年7月25日
-
- 2023年7月24日
-
工作機械メーカー各社の2024年3月期の業績は、堅調な市況を受け前期に積み上がった受注残が、販売を下支えする見込みだ。一方、足元の受注は22年秋頃から調整局面が継続。受注の回復時期、けん引する地域、業種をどう織り込むかで、各社の業績予想が分かれる。原材料高騰などの逆風を販売価格の上昇で補えるかも収益を左右しそうだ。
工作機械主要20社の24年3月期(2社は23年12月期)の業績予想は、売上高を公表している18社のうち13社が増収、営業利益を公表している14社のうち7社が増益を見込む。
オークマは24年3月期の売上高と当期利益が2期連続で過去最高を更新すると予想。前期に過去最高まで膨らんだ受注残高の消化が業績を支える見込みだ。家城淳社長は好調な業績や受注の背景に「精度が安定し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に必要な省エネルギーの機械がヒットした」と解説する。
23年1―3月期の受注が中国を含むほぼ全地域で前四半期(22年10―12月期)比で増加したDMG森精機。森雅彦社長は「5月の半ばくらいまでの受注で、各工場の12月末までの生産能力は完全に埋まった」とし、23年12月期に増収増益を見込む事業計画の達成確度が高まったと見る。5軸・複合加工機による工程集約や自動化の提案が浸透し、機械の受注平均単価も伸長。購入部材価格の上昇を価格転嫁で吸収し、販売粗利益の拡大などが収益を押し上げると予想する。
24年3月期に工作機械事業の売上高で微増を見込むジェイテクトは、営業利益では2ケタを超える大幅増を予想。同社幹部は「原価低減に加え、インフレに対する売価転嫁を織り込んだ」とした。シチズン時計は、子会社のシチズンマシナリー(長野県御代田町)で24年3月期に売上高が3期連続で過去最高を更新する見通し。
一方、牧野フライス製作所は24年3月期に減収営業減益を予想。上期(23年4―9月期)の受注減と為替の円高想定に伴う換算額の減少を反映した。永野敏之専務取締役は「23年4―6月期に受注が底を打ち、下期にかけて中国は電気自動車(EV)、米国は航空機、国内は半導体製造装置向けなどの増加を見込む」とした。
中国向けの売上高が約7割を占めるツガミは23年4―9月期の売上高を前年同期比5・1%減の455億円と予想。同社幹部は「下期も上期と同水準の売上高を想定している」と慎重な見通しを示した。
- 2023年7月24日
-
- 2023年7月20日
-
住友電気工業は自動車部品などの切削工具として、耐摩耗性が高いインサート(刃先交換チップ)「コーテッドスミボロンBNC2105」を発売した。
高速仕上げ加工に適し、安定した加工品質や長寿命が特徴。高硬度鋼やベアリング鋼、多様な加工の効率が向上する。消費税抜きの価格は標準品が1万2100円。販売目標は初年度1億円、3年後5億円。
立方晶窒化ホウ素(CBN)焼結体の新たな材種を開発し、適用した。硬度と耐熱性が高い炭窒化チタン(TiCN)結合材を用いたCBN焼結体に、高強度な窒化チタンアルミニウム(TiAlN)系の多層膜を施した。高速加工と安定長寿命を可能にする。51型番をそろえた。
- 2023年7月20日
-
- 2023年7月18日
-
京セラは振動切削工具事業に参入する。デンマークの子会社を通じて、ドイツで同工具関連メーカー2社を買収した。買収額は非開示だが、数億円規模とみられる。同工具は、一般的な工具では加工が難しい炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの加工に適する。自動車や航空機部品で普及が進む炭素繊維材料向けの工具を製品群に加えることで、将来の需要拡大に備える。
京セラユニメルコ(デンマーク)が、振動切削工具メーカーの独BFT ハルトメタル・ヴェルクツォイクと、同社製工具向け振動デバイスを手がける独GSBを買収した。両社合計の年間売上高は約300万ユーロ(約4億3000万円)。
同工具が加工に強みを持つ炭素繊維やグラスファイバーなどの材料は強度が高く、金属より軽量なのが特徴。自動車や航空機部品などへの採用が進む。
- 2023年7月18日
-
- 2023年7月14日
-
機械・工具商社業界の市況はコロナ禍を脱しても、予断を許さない状況が続く。主要商社8社が公表した2024年3月期連結業績は1社を除き増収だが、営業損益は山善、日伝、椿本興業の3社が減益を予想する。ウクライナ情勢の長期化や原料高・半導体不足の影響で設備投資は停滞気味。中でも自動車・半導体業界の設備投資需要が不透明で、各社は様子をうかがう。
山善は増収営業減益予想で、過去最高の売上高を目指す。岸田貢司社長は「中計最終年度となる25年度の売上高6000億円達成に向け、成長投資を加速する」と強調。投資先行で一時的に収益が悪化する。海外市場では「インド拠点を伸ばし、不透明感を払拭したい」と打開策を語る。
アサ商事は増収営業増益の見通しだ。ただ工業機械部門の4月の国内受注は、前年同月比19%減と調整局面が続く。田村博之社長は、補助金による効果が落ち着き「しばらくこの水準で推移する」との見方を示す。工作機械の販売を維持しつつロボット中心に省力化ビジネスを増やし「補助金があまり多くないこの時期を乗り切りたい」とする。
増収営業減益を見込む日伝、減収営業減益予想の椿本興業は、自動車や半導体の設備投資動向を24年3月期は慎重に見る。一方で「(24年3月期は)人材に投資する」(椿本興業の香田昌司社長)と、需要回復に備え組織強化に力を入れるところもある。23年3月期は7社が増収で、営業利益は6社が増益と堅調に推移した。
- 2023年7月14日