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- 2025年3月21日
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ヤマザキマザックは新型の複合加工機「インテグレックスj―200 ネオ」シリーズを発売した。従来機から各仕様を強化して、生産性や複雑な多面形状の加工対象物(ワーク)への対応力を高めた。消費税抜きの価格は3210万円から。
旋削主軸の出力とトルクを向上させ、高生産性を実現した。また、標準仕様よりさらに出力・トルクを強化したハイパフォーマンス仕様も用意する。
ミル主軸のB軸割り出し範囲も拡大。従来機では5度単位だったB軸最小割り出し角度は、標準仕様で1度単位となった。全長を短縮したコンパクトミル主軸を採用したハイパフォーマンス仕様では0・0001度単位の高精度割り出しが可能で、さまざまな形状のワークの加工に対応する。
稼働中の消費電力をコンピューター数値制御(CNC)装置のモニター上に見える化する「エナジーセーバー」機能を搭載。インバーター式油圧ユニットやチラーユニットの採用により、消費電力も削減した。
- 2025年3月21日
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- 2025年3月20日
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サンスターは熱処理工程を省くことで製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を半減させた環境対応ブレーキディスク・パッドを2輪車のレース用として商品化した。焼き入れ(熱処理)をしないと材料強度が低下する弱点を持つが、独自のディンプル構造の採用と板厚の向上などでクリアした。今後、CO2やブレーキダストのさらなる削減に取り組み、2025年に量産車への採用を目指す。
「ブレーキディスクは熱処理するのが当たり前。そんな固定観念に縛られない風土が当社にはある」。環境負荷低減に向け開発したサンスター技研MC事業部技術営業部の品川佳範設計開発グループ長は、熱処理を省いた原動力をこう語る。
ブレーキディスクの製造工程は、金型を作ってプレス加工し、歪みを矯正した後、焼き入れ、外径・内径切削、研磨する流れが普通だ。ただディスク製造時のCO2排出量は焼き入れ工程が52%、プレスなど他工程が48%。そこで焼き入れをなくしてしまうことから検討を始めた。
ディスクはパッドのくずのクリーニングや放熱を目的に、円盤状の鉄板表面に複数の孔が開いている。ただ熱処理をしないと材料強度が低くなり、孔を起点にクラック(ひび割れ)が発生しやすく、熱変形が生じやすいデメリットがある。
これに対し、鉄板を突き抜ける孔の代わりに、貫通しないディンプル構造を採用。ディンプルの数も12個と少なくしてクラックの発生リスクの低減を狙った。だが実走の結果、ディンプルのない場所でパッドクリーニング効果が不足して滑りが生じ、振動が発生。逆に数を48個と大幅に増やした結果、孔に対する応力値を3分の2以下に低減できた。熱変形に対しても、ディスクの板厚を増やすことで剛性を高められた。
ただ焼き入れなしのディスク材料と既存のパッドの組み合わせでは、ディスク表面が荒れ、パッドの異常摩耗が発生した。そこで東海カーボンと共同で、パッドの最適化設計に着手。パッドの摩耗量削減と配合成分の銅不使用を可能にした。
この結果、まずレーザー加工をしてバリ取りし、歪み矯正、外径・内径切削、ディンプル加工、研磨へと流れる新工法を確立した。熱処理工程を廃止したことでCO2排出量を半減したほか、プレス加工をレーザー加工に変えたことで金型を不要にした。プレス加工をやめたことで研磨前精度も向上した。
24年夏の鈴鹿8時間耐久ロードレースでスズキ製2輪車にテスト装着、8位に入賞しており、ブレーキの性能や耐久性に問題はない。今後は「社内の製造工程だけでなく、材料メーカーと素材製造時のCO2削減にも取り組みたい」と品川グループ長は話す。錆びにくいステンレス素材の活用やブレーキダストの50%削減などを進め、2輪車だけでなく4輪車の量産車市場への展開も狙う。
- 2025年3月20日
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- 2025年3月19日
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ファースト・オートメーションは、生成人工知能(AI)で2次元(2D)の図面から3次元(3D)CADモデルを自動生成する技術の高度化に向けた実証実験を始める。AIに図面データを与えることで、形状や寸法を読み取り、3Dモデルに変換するサービスを開発中。
中小企業では2D図面から3DCADモデルに変換するスキルを持った人材が少なく、工数の削減も課題となる。海外も含めて競合サービスは少なく、ファースト・オートメーションは実証を通じて早期のサービス化につなげる。
開発中のサービスでは、同社の製造業向け生成AI「SPESILL(スペシル)」を活用。実証を通じてより多くの図面データをAIに学習させ、3DCADへの変換精度を向上させる。
ナツメでも3Dモデル化にかかる工数削減が課題となっていた。3DCADは、パソコン上で部品の形状や動作を事前にシミュレーションできるなどの利点もあるため、ファースト・オートメーションは企業からの引き合いも高いとみて、開発を進める。
同実証実験は、愛知県内の自治体や金融機関などの地域パートナーが、スタートアップとともに地域課題の解決に資する事業やサービスの開発を目指す事業共創プログラムの一環。ファースト・オートメーションは豊川市エリアから、実証協力企業としてナツメを紹介された。
- 2025年3月19日
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- 2025年3月18日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2月の車名別新車販売は、ホンダの軽自動車「N―BOX」が前年同月比13・8%増の1万8823台で2カ月連続の首位となった。前年同月は能登半島地震や認証不正問題の影響があったが、現在は生産・供給が戻り全般的に堅調さを維持している。
首位のN―BOXは全面刷新から1年以上が経過し新車効果が薄れているものの、前年に能登半島地震による部品調達難の影響で減産していた反動が大きく5カ月ぶりの前年同月比プラスとなった。
2位はスズキの軽「スペーシア」で前年同月比4・3%増の1万5715台。現行モデルの評価に加え、2024年9月に発売したアウトドア仕様の「スペーシアギア」のてこ入れが奏功している。3位はトヨタ自動車の小型車「ヤリス」で同22・0%増の1万5245台。ヤリスは25年2月に「ヤリスクロス」も含め一部改良を実施しており、今後も増販効果が期待される。
小型ミニバンでは6位のトヨタの「シエンタ」が同22・3%増の1万538台、7位のホンダの「フリード」が同22・9%増の8815台とそれぞれ好調。またトヨタの高級ミニバン「アルファード」は1月にガソリン車・ハイブリッド車(HV)の一部改良やプラグインハイブリッド車(PHV)も設定したことで同86・8%増の8034台と伸びた。
前年比で大幅な増加となったのがダイハツ工業。5位の軽「タント」が同6・3倍の1万2404台、9位の同「ムーヴ」が同6・8倍の8177台などと伸長した。前年の認証不正問題による低迷からの反動増が大きい。ダイハツがOEM(相手先ブランド)供給するトヨタの小型車「ライズ」は同7・3倍の7995台(12位)、同「ルーミー」も同7・6倍の7800台(14位)と伸びた。
- 2025年3月18日
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- 2025年3月17日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要4社の2月の工作機械受注実績は、前年同月比35・9%増の341億5400万円と9カ月連続で増加した。輸出が同47・7%増と大幅に伸び、3カ月続けて全社がプラスとなった。設備投資を計画通り進める企業を中心とした底堅い需要に支えられる形で、2024年後半からの回復基調が続いているようだ。
牧野フライス製作所は輸出が同26・6%増と大幅に増加したが、「24年2月の受注は世界的に底だった」と慎重にみる。地域別では中国や米国が伸び、中国では電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)関連向けの受注が継続したほか、「金型向けでも回復傾向がみられた」。
オークマも輸出が同38・1%増と大幅増となり、中国でのEV向けの大型受注などがけん引した。欧米は微増とほぼ横ばいだったが、「欧州で全体的に需要の回復の兆しがみられる」という。
中国市場が主力のツガミは輸出が同68・6%増と6カ月連続で増加し、回復傾向が継続している。同社幹部は「数カ月は同様の需要環境が続く」とみる。
芝浦機械は輸出が同3・2倍と大きく伸びた。中国で車載用カメラレンズ向けに超精密加工機の大型受注があり全体を押し上げたが、「スポット的な動き」と慎重な見方を示す。横中ぐり盤などの大型工作機械では、北米で航空機やエネルギー関連向けが、国内では造船関連や金属加工向けなどが増加した。
4社合計の国内は同10・4%増と7カ月連続で増加した。大手を中心に計画的な設備投資が続くほか、半導体関連では消耗品向けなど一部で動きがみられた。一方、中小企業では人手不足を背景に「加工工程の集約や自動化による連続運転に関心が高まっている」と、本格的な受注回復に期待する声も上がる。
- 2025年3月17日
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- 2025年3月7日
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共立精機は、ツールプリセッター(工具測定機)に新たな自動化機能を追加し、受注を始めた。工具をツールプリセッターで測定した後、工作機械まで搬送して交換する工程を自動化できる。工具管理の自動化をさらに推進し、慢性的な人手不足に悩む中小企業の課題解決に貢献する。価格は個別見積り。年間5セットの販売を目指す。
工具の形状、径や高さ、角度といった寸法を測定し、加工の段取り替えを効率化できるツールプリセッター「HP―6040―FA」に新機能を追加した。親会社であるスギノマシン(富山県滑川市)の自律移動ロボット(AMR)を活用し、ツールプリセッターで測定した工具を工作機械まで自動搬送する。
AMRにはロボットアームが搭載されており、工具の取り付けや交換も自動で行える。AMRは停止位置の誤差を補正する機能により、最大プラスマイナス5ミリメートルの停止精度を担保する。
ツールプリセッターには、計測する工具の刃先に付着した切り粉やホコリなどを人工知能(AI)で検知し、付着物を除いた寸法を正確に測定できる機能なども採用。工具管理の専用ソフトウエアも自社開発しており、工具、加工機、加工対象物(ワーク)の情報を一元管理できる。
- 2025年3月7日
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- 2025年3月5日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した1月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比4・7%増の1161億4600万円と、4カ月連続で増加した。中華圏での春節(旧正月)休暇の影響など季節要因もあり、前月比は18・8%減少した。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「月々の増減をならして捉えれば、2024年後半以降の受注水準が年明け以降も持続している」との見方を示した。
地域別の受注額は、中国が前年同月比21・7%増の276億円。10カ月連続で伸びたが、4カ月ぶりに280億円を下回った。業種別では一般機械向けが同3・9%増、自動車向けが同26・1%増、電気・精密向けが同15・1%増だった。
日工会では中国政府の財政出動などにより設備投資は上向きつつあると見る。また稲葉会長は中国経済は不安定な状況だが、「力のあるところはシェアを伸ばそうと積極的に投資をしている」と話す。
インドは同98・1%増の83億円。通信機器や4輪・2輪車向けなどの好調により、過去2番目の高水準となった。ただ稲葉会長は過去数年続いた活況で設備が飽和状態に近づきつつあり、「少し踊り場にさしかかった感触を受けている」と慎重な見方も示した。
一方、欧米は期末効果が剥落。欧州はドイツを中心に景況が厳しく、同21・0%減と13カ月連続で減少した。北米は航空機関連の大口受注の剥落が響き、3カ月ぶりに250億円を下回った。米国について日工会は、トランプ政権の産業振興策によりエネルギーや航空宇宙関連で需要が伸び他分野への波及を見込むが、関税政策の動向を注視する。稲葉会長は中小規模のジョブショップなどでは金利の影響もあり長く設備投資を控えていたと捉えつつも、「新しい設備を投入する必要性への機運は高まっている」と期待を示す。
また内外需を含めた今後の受注動向については「25年1―3月期は季節要因もあり落ち着いた展開が続く」(稲葉会長)と予想する。
- 2025年3月5日
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- 2025年3月4日
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乗用車メーカー8社が発表した1月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比0・9%減の196万5743台となり、9カ月連続の前年割れとなった。中国での価格競争激化やタイなどでのローン審査の厳格化が続き、厳しい市場環境が生産・販売に影響した。トランプ米大統領が自動車に対する追加関税を検討する中、日本車メーカーにとっても視界不良の状況が続きそうだ。
世界生産はトヨタ自動車、マツダ、スズキ、ダイハツ工業を除く4社が前年割れとなった。三菱自動車は主力のタイやインドネシア生産が振るわず同17・8%減の7万5004台で12カ月連続で減少した。このほか日産自動車が8カ月連続、ホンダが6カ月連続、SUBARU(スバル)は3カ月連続でそれぞれ前年割れとなった。
一方、トヨタは新車投入効果などで国内が伸長。海外生産全体ではマイナスとなる中、北米やハイブリッド車(HV)販売が好調な欧州は前年同月を上回った。スズキはインドでスポーツ多目的車(SUV)「フロンクス」や「ブレッツァ」が人気。同国の生産が単月として過去最高となったことが世界生産全体をけん引した。
日本国内の生産では、認証不正の影響で前年同月の国内生産が0台だったダイハツが5万8563台に回復。その影響で同社の世界生産は同69・3%増の11万8509台となった。マツダは小型車「マツダ3」の伸長で国内生産が同22・6%増だった。
一方、日産は電気自動車(EV)「アリア」の台数減で国内生産が同4・5%減の5万2112台。11カ月連続で前年同月を下回った。ホンダは2023年10月に発売した軽自動車の新型「N―BOX」の増産に対応していた前年同月からの反動減で、同20・6%減の4万4857台。スバルも工場の工事の影響で稼働日が少なく、同17・0%減となった。
- 2025年3月4日
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- 2025年2月28日
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ユーベックは、小型マシニングセンター(MC)での加工時にノズル径1ミリメートルで、毎分40リットルのクーラント液を15メガパスカル(メガは100万)の高圧で吐出するクリーンジェットノズルを開発した。点検や清掃の負担軽減のほか、工具が従来比2倍以上に長寿命化するという。自社製の精密濾過装置と組み合わせたシステムとして販売する。
30番、40番主軸の小型MCが対象。小型MC30―50台が連結した集中クーラントの場合、配管工事別で精密濾過装置本体の消費税抜きの価格が5000万円程度。自動車部品メーカーなどに年間10システムの販売を目指す。
高流速、大流量のクーラント液を、刃具先がワーク(加工対象物)に接する「逃げ面」に当てることで摩擦熱が蓄積しにくくなり、刃具の長寿命化につながる。少量のエアで吹き流しながら刃具に当て、高効率切削加工と同時に洗浄機と同等レベルで切りくずを除去する。
ユーベックによると、小型MCを30―40台連結して使用すると電気代を約50%削減できるという。MC内部で使う治具やロボットなどにスラッジが付着せず、短時間の設備停止(チョコ停)を防げる。
同社の精密濾過装置は独自の精密フィルターを使用し、クーラント液を新液同等に長期間維持する。フィルター交換やタンク清掃、液交換は5年以上不要という。既存の配管やホースを利用でき、使用するMCの機種が異なっても集中クーラント方式により切りくず回収、給液、濃度管理が不要になり、生産現場の負担軽減にもつなげられる。
- 2025年2月28日
